弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

旭川事務所:0166-76-4817 名寄事務所:01654-8-7080
弁護士ブログ

大窪和久弁護士退所のご挨拶


 さて、この度、当事務所の名寄事務所で執務しておりました大窪和久弁護士が諸般の事情により,平成28年2月末をもって当事務所を退職することになりました。
 大窪弁護士は,当職が名寄市の公設事務所で業務を行っていた頃、隣接する紋別市の公設事務所にて業務を行っていた頃からの友人でした。その後奄美大島の公設事務所に転じました。その後平成23年に当時勤務していた桒野弁護士が退所したこと,及び同時期に大窪弁護士が奄美大島の公設事務所の任期を満了したことから、桒野弁護士の後任を依頼したところ,これを快諾いただき,その後約5年間当事務所に社員弁護士として業務を行い,当地の弁護士過疎解消のため尽力いただきました。
 これまで5年間当事務所にて業務を行い,弁護士過疎解消のために尽力いただいた大窪弁護士に深甚なる謝意を表するとともに,大窪弁護士の将来の発展を願いたいと思います。
 また大窪弁護士を5年間にわたって支援いただいた名寄青年会議所をはじめとした地元の皆様などに対し,大窪弁護士にかわり,深く御礼を申し上げます。
 なお大窪弁護士に代わり当面当職が名寄事務所にて業務を行うことになりました。旭川事務所の業務引継などの都合もあり,完全に名寄事務所に専念できるようになるには多少の時間を要すると思いますが,公設事務所時代を思い出し,初心にかえって尽力していきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

なお大窪弁護士からの挨拶を転載いたします。

拝啓 新春の候、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、私は平成23年から約5年間、道北法律事務所名寄事務所にて職務を行ってまいりましたが、このたび笠原裕治先生のご承諾をいただき、平成283月より、桜丘法律事務所に戻り東京にて弁護士活動をすることになりました。

 名寄事務所で勤務を始めて以来、大過なく職務を続けることができたのはひとえに皆様のご厚情とご指導の賜物と心から深く感謝申し上げます。

 今後は名寄及び前任地の奄美・紋別での経験を活かし、これまでと違った立場から司法過疎対策に取り組んでいく所存です。今後とも皆様のご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

敬具

平成281月吉日

弁護士 大 窪 和 久

新事務所(31日より)

桜丘法律事務所 〒150-0031東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル7

TEL 03-3780-0991 FAX 03-3780-0992



弁護士:笠原 裕治

新年のご挨拶(弁護士大窪)


あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年で40歳となり、大きな節目を越えることとなりました。
名寄での生活も5年目を数えました。
これだけ長い間支部で仕事を続けることができたのも、皆様からのご支援のおかげです。改めて感謝申し上げます。

また弁護士としても13年目を迎えることとなり、後に続く弁護士にこれまでの経験を伝える立場になってきたかと思います。
今年はこれまでの支部の経験を踏まえつつ、新たなチャレンジを行っていきたいと思っております。


本年もこれまで同様よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久

おかしいだろ,これ(その2)


しつこいですが,改めて。

おかしいだろ,これ。


前回に引き続き余りにおかしい安保法案の話です。

前回で述べたように,一見明白に違憲なので問題外もいいところなのですが,それを一万歩譲って合憲と解釈したとしても,やはりおかしいのです。

それは立法事実が無いことです。

立法事実とは,
「法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的もしくは科学的事実」
(芦部信喜、判例時報932号12頁)
を言います。
ごく分かりやすく言うと,立法の必要性の根拠となる事実のことをいいます。

ところが今回の安保法案。いくらどう見てもその立法事実が無い上,追求を受ける度に変遷していたのです(民事の尋問だったら絶対敗訴です)。

まず当初内閣は
「紛争国から避難する日本人のお年寄りや、母親と乳児を輸送する米艦船を防護する例と、中東・ホルムズ海峡に敷設された機雷を除去する」
という例を挙げておりました。
しかしこれが極めてレアな例であることは言うまでもありません。
おまけに中谷防衛相が邦人がいなくても行使すると発言するなど発言がいちいち変遷。
その挙げ句参院段階になり「現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを具体的に想定しているものではない」と認めるに至っております。
つまりこの事実は立法事実では無かったのです(以下は東京新聞の記事URL)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015091702000137.html

またその後は中国や北朝鮮の脅威などを言い出しました。
しかし日本と中国との関係で問題となるのは尖閣諸島しかありません。
中国はフィリピン等との間でも問題を起こしておりますが,南沙諸島の問題に日本が積極的に関わらなければならない理由はありません。
(これに介入することを前提に安保法案を定めたとしたら,フィリピンに対する内政干渉を前提にしていることになりますが,そんな理由はありません。)
また北朝鮮が好戦的であるのは今に始まったことではありません。
何より中国による尖閣諸島の問題,北朝鮮のミサイルに関する問題はいずれも個別的自衛権の問題であり,集団的自衛権と全く関係が無いので
立法事実とはなりません(おそらくこれを当初より言わなかったのは明らかに個別的自衛権の問題と分かっていたからと思われます)。

そうすると消去法で残る理由は,「アメリカの要請」となります。
2012年発のアーミテージ・ナイレポートには以下の記載があります。
(なお海上自衛隊幹部学校HPに堂々と掲載されています。)

「(6)新しい役割と任務に鑑み、日本は自国の防衛と、米国と共同で行う地域の防衛を含め、自身に課せられた責任に対する範囲を拡大すべきである。同盟には、より強固で、均等に配分された、相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と活動が、日本の領域を超えて必要となる。平時(peacetime)、緊張(tension)、危機(crisis)、戦時(war)といった安全保障上の段階を通じて、米軍と自衛隊の全面的な協力を認めることは、日本の責任ある権限の一部である。(7)イランがホルムズ海峡を封鎖する意図もしくは兆候を最初に言葉で示した際には、日本は単独で掃海艇を同海峡に派遣すべきである。また、日本は「航行の自由」を確立するため、米国との共同による南シナ海における監視活動にあたるべきである。」
http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html

これって当初内閣が主張していた安保法案の立法事実そのものですよね。
そうすると日本の内閣は,アメリカ様のご要望により,違憲の立法を定めてまでして集団的自衛権を行使できるようにした,と言うことになります。

ただ我々日本はそこまでしてアメリカ様に尽くす必要があるのでしょうか。
戦後70年が経過したにもかかわらず,日本には多数の米軍基地があり,しかもそこの米兵には日米地位協定により治外法権が認められています。
そのため現在も沖縄の住民をはじめ,基地周辺の住民が苦労しております。
http://www.asahi.com/topics/word/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%9C%B0%E4%BD%8D%E5%8D%94%E5%AE%9A.html
それに加え,日本国は,アメリカに思いやり予算と称して多額の資金を提供し,かつ非軍事分野においては多大な貢献をしております。

そこまでしつつ,それでもアメリカに言われたら,こういうことをするのですか?
アメリカという国は日本の最高法規である憲法より上の力を持っているのですか?
日本はアメリカの51番目の州ですか?

こういうことをいうと必ず「日米安保条約で日本を守ってもらっている。だから日米安保を協力にするため必要だ」という反論が出ます。
しかし日本の国防費は世界9位で,世界でも10本の指に入る軍事力を持っております。
しかもその力は防衛に特化しておりますので,こと防衛力に関して言えば,世界有数と言っても過言ではありません。
従ってアメリカに頼らずとも国防はできるのです。
http://www.garbagenews.net/archives/2258794.html

まぁ一億歩譲って,「集団的自衛権を認めて法律を作るから,アメリカ軍は撤退して地位協定も改定してください」なら分かりますが・・。
辺野古での政府の対応から,それが無いと言うことは分かりますよね。

前記したように現段階で安保法案の立法事実としてあげられることは「アメリカに言われた」以外にありません。
ただこれを立法事実として主張するのは,さすがに内閣も恥ずかしかったのでしょう。
そんな恥ずかしい立法事実を元に制定された安保法案は

おかしいだろ,これ。

としかやはり言いようがないのです。

弁護士:笠原 裕治

おかしいだろ。これ。


取りあえず最初に一言。



おかしいだろ。これ。



何の話?
はい,先日可決された安保法案の話です。

*ちなみにこの「おかしいだろ。これ。」は新潟県弁護士会の会長コメント。
http://www.niigata-bengo.or.jp/about/statement/attachment/00000169-20150919115154.pdf

あまりにも適切すぎるので,ここしばらく安保法案の話をする際,使わせてもらっています。
流行語大賞にでもノミネートしたいくらいです。

ところで何がおかしいのでしょうか,ということを少し話させて頂きます。

たとえ話ですが,野球でとある有名球団のオーナーが,
「うちの球団にはフォークボールが得意なピッチャーが多いから,ワンバウンドでも何でもストライクだ!」
「うちの球団は人気球団でファンも多い,もし俺の言うことを聞かないなら新リーグ作るからな!」
(そういえばそれに似た発言をした人がいましたね)
などと言ってワンバウンドのボールをストライクだと審判に因縁をつけたら,
「おかしいだろ,これ」
ですよね。
だってある日突然そんなことでルールを変更されたら相手チームの人も困りますし,自分のチームのバッターも困ります。
何よりそんなむちゃくちゃなルール変更をされたのでは,ファンも困ります。
何事につけ,ルールというものがあるのです。

今回の安保法案の件に話を戻します。
何がおかしいかというと先ほどの例と同じくルール違反をしているからなのです。

ちなみに野球の規則は公認野球規則というものに定められていて,日本野球規則委員会というところで定めます。
これに対し,国政に関し,国・内閣・国会が守らなければならないことは,日本国憲法で定められております。
詳細は既に過去の投稿で述べているので省略しますが,
1.憲法9条は国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する,と定めており,かつ過去の政府解釈において集団的自衛権は9条に反するという解釈が確立している。従って本法案は一見明白に違憲である。
2.従って集団的自衛権を認めるには,憲法96条に定める憲法改正の手続を取り,各議員の総議員の2/3以上の賛成で発議し,国民の過半数の賛成を要するが,今回の安保法案は集団的自衛権を認める法案であるにもかかわらず,前記手続を執っていない。
3.内閣総理大臣を含め国務大臣,国会議員は,憲法尊重擁護義務を負うが,現内閣は明らかに違憲であると言う大多数の意見(その中には最高裁元裁判官が複数含まれている)を無視して,「自分が言うのだから合憲だ」「最終判断は最高裁だ」と主張して,合憲と主張し,通常の法案を成立させるのと同じ方法で法案を成立させた。
という点で明らかなルール違反があるのです。

後日述べますが,正直私は絶対に9条を維持しなければならない,と言う意見は持っておりません。
例えば憲法を形式的に解釈すれば自衛隊は違憲です。
ただ既に自衛隊も設立されて長くなり,かつある程度活動のあり方も確立されています。
こういう不安定な地位を解消するためにも,個別的自衛権を認めるような改正はありだと思います。

また「戦争は良くない」ということは世界中の人たちが分かっているにもかかわらず,戦争は無くなっておりませんし,
北朝鮮のようにミサイルを威嚇射撃するような国もあります(もっとも北朝鮮については個別的自衛権で対応可能です)。
その点からすると「そんな甘いこといってんじゃねーよ」という意見も全く理がないとは言えないでしょう。
この点自体は賛否両論あってしかるべきだと思います(但し自分は後日述べるように余り賛成できませんが)。
先の野球規則も新ストライクゾーンの導入など,相応の方法により変更が為されておりますので,憲法も時代に沿い,かつ国民の意思に基づく改正をすること自体は問題ありません。

ただこれらもルール違反が無ければ,です。
ルール違反,つまり憲法違反である以上,論外なのです。
某オーナーが自分の勝手でストライクゾーンを変更するのが論外であるのと同じ理由で,今回の安保法案は
「おかしいだろ。これ。」
という以外表現のしようがないのです。

まして国の話です。
先の某オーナーさんがいかに権力を持っていたとしても,それはせいぜいプロ野球業界の話。
ファン以外の人には影響はありませんし,人に何かを強制するような権力もありません。
せいぜい「新リーグ作るからな!」です。

しかし国については,全ての日本国民が生活・税金・警察・福祉その他において利害関係を持っております。
それを抑えて適切に権力を行使できるように規制するのが憲法なのです。

今回の件では,今まで全く意見を言いそうに無かった人たち,例えば憲法学者がそろって意見を述べたり,最高裁元長官が複数意見を述べたり,
たくさんの人たちが「おかしいだろ。これ」と声を上げております。

残念ながら明らかに違憲であるこの法案は成立してしまいましたが,このような国を決して許してはいけません。

もう一度改めて。

「おかしいだろ。これ。」


弁護士:笠原 裕治

夏季休業のお知らせ


当事務所(旭川事務所、名寄事務所共に)につきまして、本年8月10日から14日まで夏季休業とさせていただきますので、ご案内申し上げます。

業務開始は土日(通常休業)後の8月17日となります。

休業期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。

弁護士:大窪 和久
Page Top
DOHOKU LAW OFFICE 弁護士法人 道北法律事務所
旭川事務所
070-0039 旭川市9条通7丁目2483-6
熊谷ビル3階

TEL:0166-76-4817
FAX:0166-76-4818
名寄事務所
096-0016 名寄市西6条南10丁目2-14
スキルビル1階

TEL:01654-8-7080
FAX:01654-8-7081