弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

弁護士会の司法過疎対策 その3


しばらく更新を失念していました。失礼しました。

さて前回は弁護士過疎地域ではどういう理由で法律相談がしにくいか,ということを書きましたが,それに対し,どのような対策を取るべきか,ということを考えてみたいと思います。

前回のブログにも書いたように,弁護士が過疎地で利用されにくい要因は,地理的なアクセス障害に加え,心理的なアクセス障害が大きい,ということにあります。
このうち地理的アクセス障害だけであれば,単に地元に出向いて法律相談会を定期的に開催すれば問題ありません。
これについては過払いバブル全盛期であれば,どこぞの東京の大手事務所でも地元で公民館を借りるなどして実施しておりました(これの功罪についてはあえてここでは触れません)。

しかし弁護士の業務,というのが何処までを対象とするのか実は結構分かりにくいものです。
特に前回のブログで書いたように,これまで弁護士と面識も無く,使ったことも無く,裁判所にも行ったことのない人にとっては,
「自分の悩みは弁護士に相談するべきなのだろうか。」「弁護士に何を相談したらいいのだろう」というところに問題があります。
サラ金全盛時代であれば,「サラ金に悩んでいる方は是非弁護士を」とかいえばわかりやすいのでしょうが,
「離婚・相続・高齢者・会社法務・不動産・その他諸々で悩んでいる方は是非法律相談を」といっても「???」です。

また弁護士は「おっかない」「偉そう」とも思われておりますので,なかなか相談に行くのに踏ん切りがつかないものです。

そのためには

①長期的な視野に立って地元の人に弁護士の利用の仕方を知ってもらう
②比較的そういう悩みを持っている人との接点が多い人と多く接点を持つ
③比較的信用される団体(自治体・社会福祉協議会など)と提携して相談を行う。
ということが必要になっていきます。

かつこれらについては単独の弁護士が行うのでは無く,長期的に弁護士会全体として取り組まなくてはなりません。
例えば旭川地裁管内であれば,40以上の弁護士不在自治体がありますが,これを一人の弁護士で前記した活動を行うことは不可能です。
また自治体側としても,一人の弁護士が担当するより公益団体である弁護士会との方が提携するのに障壁が少ないためです。

そのため札幌弁護士会では,現在弁護士不在地域の自治体を頻繁に訪れて法律相談会や定期的な協議会を持つという取り組みを行っており(通称頻回相談),
また旭川弁護士会も今年4月から自治体を定期的に訪問して自治体と提携して法律相談会を開催し,かつその際自治体と協議して,戦略的視点から
弁護士過疎対策を行っていこうと言うことになりました。

正直この取り組みは,住民の皆さんの心理的な障害を取り除くという事から考えないといけません。
ですので,正直住民の方が東京や札幌と同じくらいの意識で弁護士に相談できるようになるにはかなり長い時間がかかると思います。
ただ何とかやっていかないといけないことだと思いますので,ご協力のほどよろしくお願いします。

弁護士:笠原 裕治

新年のご挨拶(名寄事務所)


あけましておめでとうございます。

名寄の元旦は澄み渡る青空でした。本年はこの青空の様に良い一年であってもらいたいと願います。

私は2005年4月に紋別ひまわり基金法律事務所に赴任しました。以後事務所を奄美、名寄と変わってまいりましたが、続けて弁護士過疎地域と呼ばれる裁判所の支部所在地にて仕事をしてきました。そして今年の4月に支部所在地で仕事をさせてもらうようになってから10周年を迎えることになります。私自身本年で40歳を迎えるということもあり、大きな節目の一年となります。さらに、名寄事務所も本年3月で設立5周年になります。私が支部弁護士として仕事を続けることができたのも、これまで名寄事務所を閉じることなく続けさせていただいたのも、皆様のご支援のおかげです。改めて感謝申し上げる次第です。

本年は支部弁護士としても、名寄事務所としても大きな節目の年になります。当地でこれまでの仕事の集大成と言えるような成果を残していけるよう努めていきたいと思います。

本年もこれまで同様よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久

年末年始休業のお知らせ


当事務所は2014年12月27日より勝手ながら休業とさせていただきます。

仕事始めは2015年1月6日となります。

休業期間中はご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久

弁護士会の地域司法対策について その2


 さて前回は地域司法対策を弁護士会として行う必要性について書きましたが,ではどのようにすればいいのでしょうか,ということを書かせていただきます。

 前回地方の人たち,特に弁護士の事務所から遠隔地にいる人たちが弁護士を使いにくい理由について説明させていただきましたが,その理由は以下の3つに分けられます。
1.地理的要因 弁護士の事務所から遠い。特に北海道では冬期は雪が降ります。先日のような大雪が降ると交通網が途絶します。
2.費用的要因 単純に言うと,弁護士費用は高い,若しくは高いというイメージがある。
3.心理的要因 弁護士は取っつきにくい,恐い,そもそも知らない,何をやる人なのか分からない等。

 自分的にはこの中で最も大きな要因は3の心理的要因だと思います。

 例えばある金銭トラブルに巻き込まれた人(弁護士の知り合いがおらず,かつ近くに使ったことのある人がいないような人)がいたとして,その人が弁護士に相談するまでどういう過程をたどるか,ということを考えてみましょう。
 まず自分の巻き込まれている事件について弁護士を依頼するのが相当か,ということがまず分からない,と言うハードルがあります。一般の人は「裁判」なら弁護士を使おうと思うでしょう。でも交渉ごとや調停,契約書など書面作成も立派な弁護士の業務です。むしろ裁判にせずに終わらせる,と言う方が弁護士の神髄と言えます(例えばトラブルに対応した契約書を作るなど)。そうすると裁判にならない限り,弁護士に頼もうという気持ちになりません。
 次に「弁護士に依頼するなんて恥ずかしいことをしたくない」というハードルがあります。弁護士に頼むと言うことは争いごとに巻き込まれていると言うことですが,地方の人は「争いごとに巻き込まれること自体恥ずかしい」という気持ちを持つ人が多数います。これは数十年前の人と人との結びつきがしっかりしている時代なら通じますが,人心がすさんできて,かつ東京などの業者もインターネットなどを通じて入ってきているこの時代には通じません(ちなみにこういう人の心情につけ込むのがオレオレ詐欺であったりヤミ金融だったりします。)。
 さらに「弁護士って取っつきにくいんですけど」という人もいます。まぁ弁護士って「先生」とか言われて偉そうにしているイメージありますからね(汗)。ついでに寿司屋と同じで値段表がないと思われておりますので,更に取っつきにくいんでしょうね。でも現在弁護士事務所には弁護士会の規則で価格表を置かないといけないと定められておりますし,また法律扶助といった便利なシステムもあります(当事務所の料金表はこのホームページに掲載されています。)。
 また「弁護士を頼みたいんだけど,誰も知り合いとかいないんです」と言うこともあります。やはりいきなり弁護士の事務所に飛び込みで相談するのは勇気がいるものです。自分のプライベートなことを相談するわけですから信用できる人を頼みたいでしょうし。紹介してくれる人がいればそれに頼りたいと思うのが人情なのですが,それすらもないと頼むのには相当勇気がいることになります。

 それに加えて弁護士の事務所までの距離が遠ければ,仕事をしている人であれば仕事を休まないといけませんし,子供を抱えていれば子供をどこかに預けていかないといけません。また動ける人ならいいですが,高齢者のように動けない人もいます。また車の免許を持っていない人もいます。

 このように様々な障害があるのですが,その原因を分析すると,どのようにしたらこのような状況に対応できるか,多少見えてきます。

 まず心理的な要因,の点ですが,まず第1に弁護士がどのようなことを業務としていて,どういうことが相談に乗れるのか,費用はどの程度かかるのか,本当に取っつきにくいのか(まぁ正直本当に取っつきにくい人もいます。また私も依頼者には優しくしているつもりですが,相手方に対しては取っつきにくいですよ。笑)ということを知ってもらう必要があります。
 ただ弁護士が何をするか分からない,と思っている人が,わざわざ時間をかけて研究するわけがありません。
 ここはまず弁護士が何をするか,ということを弁護士の側から理解してもらうような活動を起こすべきではないでしょうか。
 例えば消費者向けの講演会,高齢者を支援する人に向けての研修などです。
 特に後述する「地元で相談を受け付ける可能性が多い人たち(例えば高齢者問題における包括支援センターなど)」に対して高齢者財産管理についての研修を行う,などは特に有効な方策です。

 次に単に事務所にいるだけでなく,地元に相談窓口を設置し,またその他様々な箇所と連携するという方法があげられます。
 ちなみに先ほどのように弁護士は相談しにくい存在ですが,トラブル自体は日常的に発生しています。そういう人が何処に相談するかというと大抵は身近にいる誰か,です。
 誰か,というのは人によりですが,例えば高齢者であれば福祉課・包括支援センター・社会福祉協議会・施設でしょうし,消費者被害なら消費者センターの類いでしょう,商事トラブルなら商工会議所かもしれませんし,不動産だったら地元の不動産屋,類似の有資格者である司法書士・行政書士・社労士,時には民生委員であったりします。
 実はこういう人たちも法律の専門家ではないですし,またそもそも紛争に代理人として就任できる立場にありません(ちなみに弁護士法の規定で弁護士以外が報酬をもらって法律業務の代理人をした場合は原則違法とされています)。従って彼らも相談は受けるものの,どうしたらいいかわからず,困っているのです。
 それらの人と弁護士とのネットワークを築けば,相談者は地元の相談しやすいところで相談し,それを必要に応じて弁護士を紹介して,対応することができます。

 このようにまず心理的な障害を排除し,また近くで法律相談会を開くなどして距離的障害を排除し,かつ金銭的障害についても料金表をしっかり説明し,かつ状況に応じて法律扶助を勧めるなどして排除していくべきだと思います。

(弁護士会が具体的に取るべき方策については次回)

弁護士:笠原 裕治

弁護士会の地域司法対策について その1


 久々の投稿です(笑)。ホントここしばらくブログ放置でした。怠慢極まりないですね。すいません。

 さて私の役職について自己紹介欄には「法律相談センター運営委員会委員長」とありますが,今年4月から旭川弁護士会の地域司法対策委員会という新設の委員長に就任しております。この地域司法対策委員会というのは,当会管内の弁護士過疎対策全般を担当する委員会になります。
 当会には平成13年まで支部に弁護士がおらず,そのため弁護士過疎対策と言っても現実に動くことのできる人間がいませんでしたので,特段弁護士過疎,特に支部の問題について特段の委員会等は設置しておらず,事実上法律相談センター運営委員会が相談センターの運営との関係で動いたり,公設事務所支援委員会が公設事務所関係で動いたりしておりました。
 ただ平成13年当時と異なり,現在は裁判所支部のいわゆるゼロワン問題は解消され,支部で熱心に活動する弁護士が多数おります。またそのような状況であるにもかかわらず,未だ弁護士に対するアクセス障害は解消されておりません。そのため支部でも積極的に弁護士会として戦略的に活動するため,当委員会が新設されました。

 さて先にお話ししたように私は4月に地域司法対策委員会の委員長に就任し,だいたい8ヶ月が経過しておりますが,何となく思いついたところなどをお話ししたいと思います。

 まず先に言いましたように,地域司法対策委員会は弁護士過疎問題が現在もアクセス障害の形で残っていることを前提に,それを戦略的に解決するために設立された委員会です。
ただよく弁護士の先生方に言われ,また感じるのは
「うちの会には支部のゼロワン問題は解消したから弁護士過疎なんてないよ」
「公設事務所の人に任せておけばいいじゃん」
「別に支部の仕事をやっても儲からないし」
というような話です。

 ただ実際にはどうなのでしょう。

 例えば当会には枝幸郡という地域があります。裁判所の管轄で言えば名寄支部に属しますが,名寄の裁判所とは約90キロの距離があります。
 また鉄道は通っておらず,公共交通機関も一部バスを除きほとんどありません。冬期は地吹雪があるので大変です。
 またこの枝幸郡に最も近い法律事務所は名寄の他紋別・稚内があります。しかしいずれの法律事務所も概ね100キロの距離があります。
 若くて身軽な人ならいいですが,高齢者や子供を抱えた母子家庭の人などは大変です。事実上法律相談ができない,といってもいいでしょう。
 そのためかこの地域の人の中にはオレオレ詐欺に引っかかる人もいますし,DVの被害に遭っている人も多いです。

 更に問題なのはそのような環境なので,地元の人で弁護士を使ったことのある人がほとんどいない,という点です。
 例えば子供にはさみを使わせる時,当然はさみの使い方を教えます。
 それは弁護士も同じで,弁護士がどのような時に役に立つのか,どのようなことをしてくれるのか,費用はどのくらいなのか,ということが分からなければ使いようがありません。
 ところがこれまで弁護士がいませんでしたし,名寄や紋別に事務所ができたのもここ10年のことでしかありません。
 まして弁護士というと「とっつきにくい」「費用とかたくさん取られそう」「敷居が高い」とよく言われますのでなおさらです。
 また地方の人の中には「弁護士さんに頼むような事件を持っていること自体世間様に対して恥ずかしい」というような古い意識を持っている方もいます。
 そのためか枝幸郡のようなところには,「えっ!」と思うような立派な会社や公共団体ですら,顧問弁護士もなく,頼む弁護士もいない,という状況すらあります。

 ちなみにこのような意識は,枝幸郡のような遠隔地に限らず,旭川近郊の町村部,そればかりか旭川市内の人でもかなりの人が持っています。
 特に高齢者の中にはこのような意識を持っている人がかなり多く,正直「もっと前に相談してくれれば良かったのになぁ」と思うことも日々の業務の中で多々あります。

 ただ旭川であれば市役所無料法律相談もありますし,弁護士会法律相談センターも有り,弁護士もだいたい60人くらいいますから,あとはご本人の意識の持ちよう,と言う考えもあります。
 しかし枝幸ではそうはいきません。
 やはり日本という同じ国である以上,枝幸であっても,名寄であっても,旭川であっても,そして東京であっても同じように法律により保障された権利を行使できるようにするべきです。
 そのために活動してこそ弁護士会というものでしょう。

 一部にはそれは過疎地に住んでいるのだから仕方ないという論調がありますが,人は生まれついた場所は選べませんし,高齢者のように動きたくても動けない人もいます。
 やはり同じ日本,同じ権利が認められるのが当然なのです。
 人数が少なすぎて動けなかったようであれば仕方ないのですが,弁護士の人数も増えて,支部の弁護士も増えた以上,これらのこともしっかりとやっていかないといけません。

(具体的な対策などは次回)

弁護士:笠原 裕治
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