弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

司法修習生


本日より当事務所に「司法修習生」が来所されました。

司法修習生というのは,いわゆる司法試験に合格した後,裁判所,検察庁,弁護士会でそれぞれ法曹の業務を行うに当たって必要な素養などを修行する人たちです。
ちなみにこの後「2回試験」という試験を合格すると弁護士(場合によっては裁判官や検察官)になることができます。

私も平成12年(だったかな・・)に函館で司法修習を体験しましたが,勉強しかしていない司法試験合格者の自分は,修習先で実社会の厳しさと,厳しい実社会で法曹として生きていくことの難しさ,何より法曹を必要とする依頼者が様々なところに存在するという事実に触れ,弁護士としての仕事をする上で非常に大きな影響を受けたことを良く覚えています。

ちなみに当事務所の司法修習生は62期,63期,64期,65期,それと今回来た68期の司法修習生の5人です。
今日来た修習生は自分が以前仕事をしていた名寄市出身!

司法修習で誰を担当するかは実はくじ引きで決まっているのですが(笑),6軒の修習指導担当弁護士の中からよりによってうちを引くという引きの良さ(悪さ? 笑)。
今は昔と違い修習生を取り巻く環境も厳しくなっておりますが,せっかくの縁ですし,頑張ってほしいものだと心より思います。
また当事務所での修習が彼の今後法曹として生きていく上での一助になればいいと心底思います。



弁護士:笠原 裕治

弁護士会の司法過疎対策 その3


しばらく更新を失念していました。失礼しました。

さて前回は弁護士過疎地域ではどういう理由で法律相談がしにくいか,ということを書きましたが,それに対し,どのような対策を取るべきか,ということを考えてみたいと思います。

前回のブログにも書いたように,弁護士が過疎地で利用されにくい要因は,地理的なアクセス障害に加え,心理的なアクセス障害が大きい,ということにあります。
このうち地理的アクセス障害だけであれば,単に地元に出向いて法律相談会を定期的に開催すれば問題ありません。
これについては過払いバブル全盛期であれば,どこぞの東京の大手事務所でも地元で公民館を借りるなどして実施しておりました(これの功罪についてはあえてここでは触れません)。

しかし弁護士の業務,というのが何処までを対象とするのか実は結構分かりにくいものです。
特に前回のブログで書いたように,これまで弁護士と面識も無く,使ったことも無く,裁判所にも行ったことのない人にとっては,
「自分の悩みは弁護士に相談するべきなのだろうか。」「弁護士に何を相談したらいいのだろう」というところに問題があります。
サラ金全盛時代であれば,「サラ金に悩んでいる方は是非弁護士を」とかいえばわかりやすいのでしょうが,
「離婚・相続・高齢者・会社法務・不動産・その他諸々で悩んでいる方は是非法律相談を」といっても「???」です。

また弁護士は「おっかない」「偉そう」とも思われておりますので,なかなか相談に行くのに踏ん切りがつかないものです。

そのためには

①長期的な視野に立って地元の人に弁護士の利用の仕方を知ってもらう
②比較的そういう悩みを持っている人との接点が多い人と多く接点を持つ
③比較的信用される団体(自治体・社会福祉協議会など)と提携して相談を行う。
ということが必要になっていきます。

かつこれらについては単独の弁護士が行うのでは無く,長期的に弁護士会全体として取り組まなくてはなりません。
例えば旭川地裁管内であれば,40以上の弁護士不在自治体がありますが,これを一人の弁護士で前記した活動を行うことは不可能です。
また自治体側としても,一人の弁護士が担当するより公益団体である弁護士会との方が提携するのに障壁が少ないためです。

そのため札幌弁護士会では,現在弁護士不在地域の自治体を頻繁に訪れて法律相談会や定期的な協議会を持つという取り組みを行っており(通称頻回相談),
また旭川弁護士会も今年4月から自治体を定期的に訪問して自治体と提携して法律相談会を開催し,かつその際自治体と協議して,戦略的視点から
弁護士過疎対策を行っていこうと言うことになりました。

正直この取り組みは,住民の皆さんの心理的な障害を取り除くという事から考えないといけません。
ですので,正直住民の方が東京や札幌と同じくらいの意識で弁護士に相談できるようになるにはかなり長い時間がかかると思います。
ただ何とかやっていかないといけないことだと思いますので,ご協力のほどよろしくお願いします。

弁護士:笠原 裕治

新年のご挨拶(名寄事務所)


あけましておめでとうございます。

名寄の元旦は澄み渡る青空でした。本年はこの青空の様に良い一年であってもらいたいと願います。

私は2005年4月に紋別ひまわり基金法律事務所に赴任しました。以後事務所を奄美、名寄と変わってまいりましたが、続けて弁護士過疎地域と呼ばれる裁判所の支部所在地にて仕事をしてきました。そして今年の4月に支部所在地で仕事をさせてもらうようになってから10周年を迎えることになります。私自身本年で40歳を迎えるということもあり、大きな節目の一年となります。さらに、名寄事務所も本年3月で設立5周年になります。私が支部弁護士として仕事を続けることができたのも、これまで名寄事務所を閉じることなく続けさせていただいたのも、皆様のご支援のおかげです。改めて感謝申し上げる次第です。

本年は支部弁護士としても、名寄事務所としても大きな節目の年になります。当地でこれまでの仕事の集大成と言えるような成果を残していけるよう努めていきたいと思います。

本年もこれまで同様よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久

年末年始休業のお知らせ


当事務所は2014年12月27日より勝手ながら休業とさせていただきます。

仕事始めは2015年1月6日となります。

休業期間中はご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久

弁護士会の地域司法対策について その2


 さて前回は地域司法対策を弁護士会として行う必要性について書きましたが,ではどのようにすればいいのでしょうか,ということを書かせていただきます。

 前回地方の人たち,特に弁護士の事務所から遠隔地にいる人たちが弁護士を使いにくい理由について説明させていただきましたが,その理由は以下の3つに分けられます。
1.地理的要因 弁護士の事務所から遠い。特に北海道では冬期は雪が降ります。先日のような大雪が降ると交通網が途絶します。
2.費用的要因 単純に言うと,弁護士費用は高い,若しくは高いというイメージがある。
3.心理的要因 弁護士は取っつきにくい,恐い,そもそも知らない,何をやる人なのか分からない等。

 自分的にはこの中で最も大きな要因は3の心理的要因だと思います。

 例えばある金銭トラブルに巻き込まれた人(弁護士の知り合いがおらず,かつ近くに使ったことのある人がいないような人)がいたとして,その人が弁護士に相談するまでどういう過程をたどるか,ということを考えてみましょう。
 まず自分の巻き込まれている事件について弁護士を依頼するのが相当か,ということがまず分からない,と言うハードルがあります。一般の人は「裁判」なら弁護士を使おうと思うでしょう。でも交渉ごとや調停,契約書など書面作成も立派な弁護士の業務です。むしろ裁判にせずに終わらせる,と言う方が弁護士の神髄と言えます(例えばトラブルに対応した契約書を作るなど)。そうすると裁判にならない限り,弁護士に頼もうという気持ちになりません。
 次に「弁護士に依頼するなんて恥ずかしいことをしたくない」というハードルがあります。弁護士に頼むと言うことは争いごとに巻き込まれていると言うことですが,地方の人は「争いごとに巻き込まれること自体恥ずかしい」という気持ちを持つ人が多数います。これは数十年前の人と人との結びつきがしっかりしている時代なら通じますが,人心がすさんできて,かつ東京などの業者もインターネットなどを通じて入ってきているこの時代には通じません(ちなみにこういう人の心情につけ込むのがオレオレ詐欺であったりヤミ金融だったりします。)。
 さらに「弁護士って取っつきにくいんですけど」という人もいます。まぁ弁護士って「先生」とか言われて偉そうにしているイメージありますからね(汗)。ついでに寿司屋と同じで値段表がないと思われておりますので,更に取っつきにくいんでしょうね。でも現在弁護士事務所には弁護士会の規則で価格表を置かないといけないと定められておりますし,また法律扶助といった便利なシステムもあります(当事務所の料金表はこのホームページに掲載されています。)。
 また「弁護士を頼みたいんだけど,誰も知り合いとかいないんです」と言うこともあります。やはりいきなり弁護士の事務所に飛び込みで相談するのは勇気がいるものです。自分のプライベートなことを相談するわけですから信用できる人を頼みたいでしょうし。紹介してくれる人がいればそれに頼りたいと思うのが人情なのですが,それすらもないと頼むのには相当勇気がいることになります。

 それに加えて弁護士の事務所までの距離が遠ければ,仕事をしている人であれば仕事を休まないといけませんし,子供を抱えていれば子供をどこかに預けていかないといけません。また動ける人ならいいですが,高齢者のように動けない人もいます。また車の免許を持っていない人もいます。

 このように様々な障害があるのですが,その原因を分析すると,どのようにしたらこのような状況に対応できるか,多少見えてきます。

 まず心理的な要因,の点ですが,まず第1に弁護士がどのようなことを業務としていて,どういうことが相談に乗れるのか,費用はどの程度かかるのか,本当に取っつきにくいのか(まぁ正直本当に取っつきにくい人もいます。また私も依頼者には優しくしているつもりですが,相手方に対しては取っつきにくいですよ。笑)ということを知ってもらう必要があります。
 ただ弁護士が何をするか分からない,と思っている人が,わざわざ時間をかけて研究するわけがありません。
 ここはまず弁護士が何をするか,ということを弁護士の側から理解してもらうような活動を起こすべきではないでしょうか。
 例えば消費者向けの講演会,高齢者を支援する人に向けての研修などです。
 特に後述する「地元で相談を受け付ける可能性が多い人たち(例えば高齢者問題における包括支援センターなど)」に対して高齢者財産管理についての研修を行う,などは特に有効な方策です。

 次に単に事務所にいるだけでなく,地元に相談窓口を設置し,またその他様々な箇所と連携するという方法があげられます。
 ちなみに先ほどのように弁護士は相談しにくい存在ですが,トラブル自体は日常的に発生しています。そういう人が何処に相談するかというと大抵は身近にいる誰か,です。
 誰か,というのは人によりですが,例えば高齢者であれば福祉課・包括支援センター・社会福祉協議会・施設でしょうし,消費者被害なら消費者センターの類いでしょう,商事トラブルなら商工会議所かもしれませんし,不動産だったら地元の不動産屋,類似の有資格者である司法書士・行政書士・社労士,時には民生委員であったりします。
 実はこういう人たちも法律の専門家ではないですし,またそもそも紛争に代理人として就任できる立場にありません(ちなみに弁護士法の規定で弁護士以外が報酬をもらって法律業務の代理人をした場合は原則違法とされています)。従って彼らも相談は受けるものの,どうしたらいいかわからず,困っているのです。
 それらの人と弁護士とのネットワークを築けば,相談者は地元の相談しやすいところで相談し,それを必要に応じて弁護士を紹介して,対応することができます。

 このようにまず心理的な障害を排除し,また近くで法律相談会を開くなどして距離的障害を排除し,かつ金銭的障害についても料金表をしっかり説明し,かつ状況に応じて法律扶助を勧めるなどして排除していくべきだと思います。

(弁護士会が具体的に取るべき方策については次回)

弁護士:笠原 裕治
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