さて今回も前回に引き続き,クレーム処理について。 前回ではクレームか否か,の判断について投稿しましたが,今回はクレーム,と判断された場合に,どのように対応するべきか,というところについて説明させていただきます。 まず最も大事なことは,自らがどのような立場に立つのか,ということを明確にすることです。 前回の投稿にもありますが,客観的に何が真実か,ということは神様でもない限り分かりませんし,争いがあれば最終的には裁判等で確定する,と言うことにしかなりません。 従ってクレームを受ける側は,「もしかしたら相手の行っていることが正しいかも知れないな」と思ってしまうものですし(特にクレームを受け慣れていない人などはそう思ってしまいます。),そのような自信なさげな対応が相手方のつけいるスキとなってしまいます。 そのようなスキを与えないようにするには,まず自分の対応に自信を持つこと,一貫して動かすべきことでないことを持つことです。 例えば「欠陥商品だ!」というクレームであれば,本当に欠陥があるのかをしっかり調査して,「ない!」ということに自信を持って対応することです。また「欠陥がある」というのであれば,どの程度の損害が相当なのか,ということを調査して対応するべきです。 なお道義的責任と法的責任は別ですので,法的責任を負うか,ということについて専門家の意見を聞くことをお勧めします。専門家の意見があれば,自分たちの対応に自信を持つことができます。 次にむやみに責任を認めないことです。クレームをあまりに長く受けていると,多少相手方に同情する,若しくは苦情対応に疲れて認めてしまう,と言うことがあります。 しかしこれは絶対に禁物です。道義的に同情できたとしても法的な責任は別の問題ですし,まして対応に疲れて,というのは将に相手方の思うつぼと言っていいでしょう(後者の対策は次項)。 次に相手方の圧迫に屈しない態勢を作ることです。 クレーム処理は面倒なものです。ですから嫌なことはやらないようにしよう,と思って,つい一人に任せきり,と言うことがあります。 しかし一人で苦情を聞いていると大変です。暴力団のような確信犯的なタイプであれば相手を追い込むすべも知っておりますし,単に感情的になっている人を相手にするのも大変です。この種の苦情対応で鬱病に罹患する事例もかなり多く存在します。 そこで対応する際には,可能な限り複数の人間で対応する,ということが大切です。これは担当者の心理的負担を軽減する効果もありますが,脅迫等の言動があった場合に,証人とすることができる,と言う効果もあります。 またあまりに脅迫めいたことを行ってくるようであれば録音する,という選択もあります。相手方は,録音機が目の前にあると言うだけで発言には気をつけるものです。 それとその場で回答せずに後日検討の上回答する,と言う対応も大切です。またその場で回答しないよう,決裁権のある人を前面に出さないこと(揚げ足を取られないようにする),というのも大切です。 それから対応窓口を一本化させること,相手方についても複数の窓口を作らせないことです。 例えば当方の対応窓口をA課としたなら,そこだけで対応する,ということです。苦情を言う側は当方が受け入れないと,別の部署(例えばB課)に持ち込んで,同じようなことを言う,ということがあります。その場合B課はA課の事情を知らないので,うっかり変なことを回答し,揚げ足を取られます。 逆に相手方についても,窓口を一本化させることです。例えば「代理人」と名乗る人がいたら,可能な限り排除した方がよいでしょう。この「代理人」がどういう素性の人か分からないことに加え,間に人を通すことによって,誤った情報が双方当事者に伝えられる可能性があるためです。 紛争を複雑化させないためには,可能な限りシンプルに,というのが基本です。 その他様々な対応方法があります。 例えば脅迫等があれば警察の暴力団関係の部署や弁護士に相談して刑事告訴を検討する,感情的な人に対しては民事調停などの利用を検討する,等です。 ただこれらについては,事案に応じて様々な方法がありますので,弁護士その他にご相談されることをお勧めします。
さて今回も前回に引き続き,クレーム処理について。
前回ではクレームか否か,の判断について投稿しましたが,今回はクレーム,と判断された場合に,どのように対応するべきか,というところについて説明させていただきます。
まず最も大事なことは,自らがどのような立場に立つのか,ということを明確にすることです。
前回の投稿にもありますが,客観的に何が真実か,ということは神様でもない限り分かりませんし,争いがあれば最終的には裁判等で確定する,と言うことにしかなりません。
従ってクレームを受ける側は,「もしかしたら相手の行っていることが正しいかも知れないな」と思ってしまうものですし(特にクレームを受け慣れていない人などはそう思ってしまいます。),そのような自信なさげな対応が相手方のつけいるスキとなってしまいます。
そのようなスキを与えないようにするには,まず自分の対応に自信を持つこと,一貫して動かすべきことでないことを持つことです。
例えば「欠陥商品だ!」というクレームであれば,本当に欠陥があるのかをしっかり調査して,「ない!」ということに自信を持って対応することです。また「欠陥がある」というのであれば,どの程度の損害が相当なのか,ということを調査して対応するべきです。
なお道義的責任と法的責任は別ですので,法的責任を負うか,ということについて専門家の意見を聞くことをお勧めします。専門家の意見があれば,自分たちの対応に自信を持つことができます。
次にむやみに責任を認めないことです。クレームをあまりに長く受けていると,多少相手方に同情する,若しくは苦情対応に疲れて認めてしまう,と言うことがあります。
しかしこれは絶対に禁物です。道義的に同情できたとしても法的な責任は別の問題ですし,まして対応に疲れて,というのは将に相手方の思うつぼと言っていいでしょう(後者の対策は次項)。
次に相手方の圧迫に屈しない態勢を作ることです。
クレーム処理は面倒なものです。ですから嫌なことはやらないようにしよう,と思って,つい一人に任せきり,と言うことがあります。
しかし一人で苦情を聞いていると大変です。暴力団のような確信犯的なタイプであれば相手を追い込むすべも知っておりますし,単に感情的になっている人を相手にするのも大変です。この種の苦情対応で鬱病に罹患する事例もかなり多く存在します。
そこで対応する際には,可能な限り複数の人間で対応する,ということが大切です。これは担当者の心理的負担を軽減する効果もありますが,脅迫等の言動があった場合に,証人とすることができる,と言う効果もあります。
またあまりに脅迫めいたことを行ってくるようであれば録音する,という選択もあります。相手方は,録音機が目の前にあると言うだけで発言には気をつけるものです。
それとその場で回答せずに後日検討の上回答する,と言う対応も大切です。またその場で回答しないよう,決裁権のある人を前面に出さないこと(揚げ足を取られないようにする),というのも大切です。
それから対応窓口を一本化させること,相手方についても複数の窓口を作らせないことです。
例えば当方の対応窓口をA課としたなら,そこだけで対応する,ということです。苦情を言う側は当方が受け入れないと,別の部署(例えばB課)に持ち込んで,同じようなことを言う,ということがあります。その場合B課はA課の事情を知らないので,うっかり変なことを回答し,揚げ足を取られます。
逆に相手方についても,窓口を一本化させることです。例えば「代理人」と名乗る人がいたら,可能な限り排除した方がよいでしょう。この「代理人」がどういう素性の人か分からないことに加え,間に人を通すことによって,誤った情報が双方当事者に伝えられる可能性があるためです。
紛争を複雑化させないためには,可能な限りシンプルに,というのが基本です。
その他様々な対応方法があります。
例えば脅迫等があれば警察の暴力団関係の部署や弁護士に相談して刑事告訴を検討する,感情的な人に対しては民事調停などの利用を検討する,等です。
ただこれらについては,事案に応じて様々な方法がありますので,弁護士その他にご相談されることをお勧めします。