弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

ひまわり基金の徴収延長について


久々のブログ更新です。

最近ひまわり基金の徴収の延長が議論されております(弁護士以外の方はわかりにくいかもしれませんが、ご容赦ください。)。
ひまわり基金とは弁護士過疎・偏在解消のため、日弁連各会員から特別会費を徴収し(現在月額700円)、弁護士過疎・偏在地域における公設事務所の援助等を行うための基金です。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/counsel/kaso_taisaku/himawari.html
この徴収期限は来年3月までとされていて、現在徴収期限を延長するかについて議論がされているところです。
上記HPにもあるとおり、現在全国各地に公設事務所が設置されていて、旭川弁護士会管内においても、現在稚内支部1,名寄支部1、紋別支部2,留萌支部2の合計6軒もの公設事務所が設置されています。少なくとも旭川弁護士会管内の支部の公設事務所の弁護士は全うに公的活動にも取り組み、地域住民の方々の法的需要に応えるべく活動しております。

ただ前記したようにこの徴収期限が延長が議論されている、ということからもわかるように、この徴収について反対論がある、と言うことを意味します。
例えば「最近弁護士が多くなってきたのだからひまわり基金などなくても弁護士過疎は解消できる」「ゼロワン問題(各支部に最低2名の弁護士を確保する)は解消されたのだから、弁護士過疎は解消された」などです。ひどい議論になると、「ひまわり基金事務所の弁護士は多重債務問題などで儲かっているから援助は必要ないんだ」という話まであります。

この点確かに上記の議論にあるようにいわゆる「ゼロワン問題」は解消されています(2012年11月26日現在で、弁護士ワン地域は大分地裁の杵築支部で一つ残っておりますが)。
しかし最も大事なことは、この「ゼロワン解消」の状態を最低限維持することです。
例えば旭川地裁の支部には前記したように多数の公設事務所が設置されています。定着した事務所の弁護士はうちの事務所を入れてもわずか3軒しかなく、公設事務所がなくなればすぐに支部の住民の相談窓口は激減することになります。特に留萌支部や紋別支部などは現在営業している事務所は2軒とも公設事務所です。仮に公設事務所がなくなったら、留萌や紋別の方は遠く旭川まで相談に行かなければなりません。

また地域にごく少ない数の弁護士しかいない、ということはその弁護士がある意味その地域の弁護士を代表していると言うことを意味しますので、当然その質も問われていきます。例えば旭川のように50人前後の会員がいれば変な弁護士がいても他を当たれますが、支部ではそうはいかないのです。
従って支部の弁護士について人材を確保する、ということは非常に重要なことなのです。

ただ現在旭川のひまわり基金法律事務所は後任者不足にあえいでおります(従って弁護士の人数が増えたから地方に人が増えるというのは妄想です。)。
これはある意味当然のことです。何も知らない過疎地に出向いて、いきなり事務所を引き継げ、と言われても、どのような事務所かも分かりません。
また弁護士も商売ですので、やはり収支が成り立つか、と言う不安もあります。
もちろん家族などがいれば、一緒に赴任することになりますので、家族の不安もフォローしてあげないと行けません(病院や教育機関など)。
それらの不安を解消し、よりいい人材を過疎地に派遣するには、前記したひまわり基金による支援が必要なのです。

この点確かに一時期公設事務所は儲かる、という説もあり、またいわゆる多重債務がらみの依頼者が多かった時期は各公設事務所には相応の収入がありました。
それを目当てに赴任する、という人も何人もいました。
ただ現在多重債務問題が急速に収束しつつあり、今後公設事務所の経営が悪化するという可能性は極めて高いと思われます。何故かというと、都会の一般事務所に比べると、多重債務関係の依頼者が多い分、それが激減すれば、その分売り上げにも直結するためです。
最初この制度ができた理由は、地方ではなかなか商売にならないだろう、と思われ、その支援として決められたのです。
そのような状況下で、徴収を無くす、というのは、はっきり言って支部に出向いている公設事務所の弁護士のはしごを外す行為と言わざるを得ません。

正直私は過去に公設事務所の経験はあるものの、現在の公設事務所のあり方には批判的ですし、日弁連の考えている弁護士過疎対策についても相当批判的です。
自分が公設ではなく、あえて法人の支店を作った理由も、公設事務所や日弁連と別の視点で弁護士過疎問題に取り組んでみたいと思ったためです。
また本来公設事務所の制度は弁護士過疎問題が解消するまでの時限立法的な趣旨でできたものでしかなく、いずれは定着という形で発展的に解消して欲しいものだと思っています。

ただ少なくとも現時点においては公設事務所無くして弁護士過疎問題を語れないのが現実です。
また少なくとも旭川弁護士会管内の公設事務所の弁護士は、地域の法的需要に対し、積極的に取り組んでいると思います。
正直あまり小さな視点で議論せず、大きな視点から、この問題を考えていただき、支部の弁護士たちが仕事を安定してできるように、支援していただきたいと思います。


 

 

 

 

弁護士:笠原 裕治
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