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無保険車による事故について


これまで私が担当した刑事事件の国選弁護において、自動車運転過失致死傷罪で起訴された交通事故の加害者の弁護を行うことは少なくありませんでした。そして交通事故を実際に起こしてしまった被告人の弁護の関係で大きく問題になるのが、被害者への損害賠償の問題です。この場合、被告人が対人無制限の任意保険に入っている場合には、被害者への損害賠償について任意保険により行われることになりますが、問題は任意保険に入っていない場合です。


任意保険に入っておらず、自賠責保険にしか入っていない場合、自賠責保険によって支払いがなされる金額については制限があります。たとえば傷害による損害については最高額120万円までしか自賠責保険からの支払いはなされませんし、死亡による損害についても、慰謝料等も含め最高額3000万円までしか支払いはなされません。交通事故による損害額が自賠責保険の限度額を大きく超えることはよくあることで、その場合被害者に対する賠償が非常に困難となります。また、自賠責保険にすら入っていない場合には、全て自費によって損害賠償を行わなければなりません(なお、後記の自動車損害賠償保障事業による支払いが被害者になされた場合、政府が加害者に支払額の求償を行います)。


被害者の方が亡くなられた場合は特にそうですが、損害賠償がなされない場合被害者の方あるいは遺族の方の処罰感情はより厳しいものになるのは当然のことです。自動車運転過失致死傷罪では刑事裁判に被害者の参加が認められており、被害者参加人は一定の要件の下で情状証人や被告人に質問したり,事実又は法律の適用について意見を述べたりすることができます。被害者参加制度の中で述べられた被害者参加人の意見が直接刑事裁判の証拠としてもちいられるわけではありませんが、損害賠償がなされないことおよび被害者あるいはその遺族の処罰感情が苛烈であることは当然のことながら量刑に反映します。自動車運転過失致死傷罪の法定刑は7年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金とされていますが、損害賠償がない場合では初犯であっても実刑判決がなされることは十分あり得ます。交通事故は一瞬の不注意で生じるものであり、普段安全運転を心掛けているという方でも交通事故を起こしてしまう可能性はあります。万一の場合に備えて、自賠責保険は当然ですが、任意保険にも必ず入るようにしてください。


また、自分が全く落ち度がない場合でも、相手方の不注意により交通事故の被害者になってしまうこともあり得ます。相手方が保険に入っていればよいですが、そうではないケースがあることも考えておく必要があります。仮に加害者が全くの無保険車に乗っていたとしても、政府の自動車損害賠償保障事業により損害金の支払を受けることはできます(自賠法71条以下)。ただし、上記自賠責保険と同様金額の制限がありますので、完全な賠償をうけることができないことは十分ありえます。もっともその場合でも、自分が加入している任意保険契約中に無保険車傷害保険が含まれていれば賠償を受けられる場合がありますので、あらかじめ自分が加入している任意保険の内容を再確認することをお勧めいたします。

弁護士:大窪 和久
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