弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

2013年01月

債務整理の際にご注意いただきたいこと


私が名寄において仕事を初めてからそろそろ2年が経過しようとしておりますが、その間一番多く相談を受けたり受任をする事件は債務整理事件です。消費者金融等高金利の会社など複数の業者から借り入れを行った結果支払いが困難になった方から数多く相談を受けてきました。相談後受任をし、依頼者の代理人として各業者と和解を行ったり(任意整理)、破産や個人民事再生手続の申立をするなどしています。

名寄において目立つようになったのは、かつて他の実務家(弁護士・司法書士)に過払金返還請求の依頼を行い、実際に回収を行ってもらったものの、その後他の業者からの借金が支払いきれなくなった、という相談者です。

過払い金の回収については近時テレビ・ラジオ等でも宣伝するようになったのでご存知の方も多いかと思いますが、貸金業者が法律上(利息制限法)認められる利息を超えた利息で長期間貸し付けを行っていた時には、業者が逆に顧客に返還しなければならないお金(過払い金)が発生することがあります。この過払い金をきちんと回収することも債務整理ではとても重要なことです。しかし複数の業者との取引をしている場合、過払い金が発生しているばかりではなく、取引期間の短い業者などとの間では借金が残っていることはよくあります。この残債務がある業者との間でも、収入から支払える限度の分割支払の和解を行ったり、過払金を原資として一括支払いの和解を行うなどして、少しでも依頼者の経済的負担を少なくするというのが一般的な債務整理のやり方です。

ところが前記した相談者の方の場合、そもそも残債がある業者との間では実務家が受任しておらず、相談者の方が同じ条件で支払いを続けていました。そのまま支払いができていれば問題もなかったのかもしれませんが、もともと経済的苦境から多重債務に陥っていたのですから、今までと同じ条件では支払いを続けること自体が難しいということはあると思います。

また、私が名寄に来る前の相談者の方には、過払金が発生した当時においてその他の借金についても分割等の適切な和解をしていれば支払ができた可能性があったものの,残債のある業者についても受任した弁護士による和解がなされておらず、その後支払不能に陥ってしまい,結果破産を選択した方もいました。

日本弁護士連合会では、2011年2月に「債務整理事件処理の規律を定める規程」を定め、弁護士が債務整理を受任するにあたりルールを定めています。債務整理を行う一部の弁護士に不適切な業務を行う者がいることより、それを是正することを目的としたものです。このルールの中には、過払金返還請求の受任において弁護士が負うべき義務が次のように定められています。(日弁連のホームページに原文がPDFであります)。

「 弁護士は、債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けるに当たっては、当該債務者が負担している他の債務の有無、内容及び件数を確認し、当該債務者が負担するすべての債務に関する事項を把握するように努める。債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けて事件処理を行っている間に、当該債務者が他の債務を負担していると思料される事情があることを知ったときも、同様とする。」(規定8条1項)
「弁護士は、債務者が負担している他の債務があることを知りながら、当該他の債務についての債務整理事件の依頼を受けずに過払金返還請求事件のみの依頼を受けてはならない。ただし、弁護士が当該他の債務について債務整理を行わない場合に生じる可能性のある不利益について説明し、その説明を受けても当該債務者が当該他の債務についての債務整理事件を依頼することを希望せず、かつ、その理由が不当な目的に基づくものではないと認められるときは、この限りでない。」(規定8条2項)

すなわち、弁護士は過払金返還請求のつまみ食い(ほかに借金があるのに過払金だけを取り返して借金を整理しないこと)の依頼には原則として応じられないということです。前記のとおり、借金は全体として解決しなければ、その後残った借金が支払いできなくなり、債権者から裁判を起こされたり、給料・財産を差し押さえられるなど取り返しのつかないことも起こりうるからです。

上記のとおり、弁護士は過払金がある借金以外についても原則として依頼を受けるというルールがありますので、弁護士に相談する際にはすべての借金についてお話しした上、過払い金以外の借金についてどうするか説明を求めて頂きたいと思います。その上で、その弁護士に依頼するかしないかを決めることをお勧めいたします。

弁護士:大窪 和久

学校での体罰について


皆様。明けましておめでとうございます。
ブログ更新をサボっていたため,今頃になってのご挨拶で申し訳ありません。
本年もよろしくお願いいたします。

さて新年の初投稿は,最近話題になっている学校での体罰に関して。
これを法律家の視点から取り上げてみようと思います。

ところで皆さん,授業中騒ぎを起こして周りに迷惑を掛ける,部活で常習的に遅刻をする,といった生徒が居た場合,教師が「廊下に立っていなさい!」とか,「グラウンド10周!」とか指導していたという記憶がありませんか?「ドラえもん」当たりだとのび太君がよく先生に言われているあれです。
実は学校教育法11条には「校長及び教員は教育上必要があると認めるときは・・懲戒を加えることが出来る。」と定められており,上記の処分は広い意味でその一環としてなされるものなのです。素行不良な生徒がいても,それを指導できないようでは,学校としての意味がありませんので,当然の規程でしょう。

しかし学校教育法11条には,「但し体罰を加えることはできない」という但し書きがありますので,教育上必要であったとしても体罰を加えることは出来ない,というのが学校教育法の原則となります。

ただ上記した「廊下に立っていなさい!」も「グラウンド10周!」も,生徒に懲罰として身体的な負担を掛けるのですから,広い意味で言えば体罰,といえなくはないかも知れません。例えば「廊下に立っていなさい」も「1日中,トイレに行きたくなっても立っていなさい!」なら立派な体罰です。
逆に「授業が終わるまで立っていなさい!」という程度で体罰,とされたのでは十分な指導も出来ないでしょう。
結局これらを一義的に決めることも現実的には不可能だと思います。

この点東京高裁昭和56年4月1日判決は,前記した学校教育法が禁止する「体罰」を,
「懲戒権の行使として相当と認められる範囲を超えて有形力を行使して生徒の身体を侵害し,あるいは生徒に対して肉体的苦痛を与えること」とした上で,「教育基本法,学校教育法・・に伺える教育原理と教育方針を念頭に置き,更に生徒の年齢,性別,性格,生育過程,身体的状況,非行の内容,懲戒の趣旨,有形力行使の態様と程度,教育的効果,身体的侵害の大小・結果等を総合して社会通念に乗っ取り,結局は各事例ごとに相当の有無を具体的個別的に判定するほかないものと言わざるを得ない」
としています。
難しい表現を使っていますが,要は一般常識に従って,その状況によって判断しましょう,ということです。裁判所も結局事例に応じて,としか言いようがなかったようです。

では今回の桜宮高校の事件のように部活での体罰だったらどうでしょうか。
この点一般論として高校生である程度の判断能力があることや,所詮部活で離脱の自由があること,そう言う教育方針であることを承知の上入部したという事は考慮できるかと思います。
ただ学校教育法が体罰を禁止している以上,いわゆる鉄拳制裁的な体罰を部活の懲戒権として行使した場合,違法の可能性が高いでしょう。またこれが部員の協調性を害する,ということであれば別ですが,部の成績が上がらない,という趣旨の場合は違法の疑いが高いと思います。
桜宮高校の件は,自分は事件当事者ではありませんし,情報もマスコミを通じてはいる程度しかありませんので,どうこう言える立場にはありません。ただ部活で指導をする際,もしくは指導をされる際の参考にしていただけると幸いです。

弁護士:笠原 裕治

新年のご挨拶(名寄事務所)


あけましておめでとうございます。

私は今年の春で名寄3年目となります。名寄に来る前には、弁護士過疎地域と呼ばれる地域で、いずれも3年間という任期がある中で公設事務所の所長をしていました。名寄は裁判所支部管内に弁護士事務所が3つあり、かつての弁護士が全くいない、という状態ではなくなっていますし、私自身も任期付きで事務所にいるわけでもありませんので、私はこれまでと同じ立場であるわけではありません。ただ、それでも3年目という年は大きな節目となると考えております。

弁護士の増員が続き、弁護士の人数が地方においても増え続ける中、どのような仕事が弁護士に今後求められるのか見定めつつ、本年も当地において仕事を続けていきたいと考えます。

本年も昨年同様よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

弁護士:大窪 和久
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