弁護士ドットコム「弁護士列伝」からインタビューを受け,取材内容が掲載されました。
http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51375158.html
明日は総選挙ですね。弁護士の仕事とちょっと違うかもしれませんが、少しだけご容赦ください。
現在の日本は長期にわたる経済の地盤沈下のため、失業者も増加し、国民は疲弊し、世間には閉塞感が漂っています。
これに加え昨年東日本大震災が発生し、原発に至っては未だ未解決という状態です。
今回の選挙では、本来これらについての問題が中心に議論され、選挙が終わった後はそれこそ一体になってこれらのことに取り組む必要があります。
また東日本大震災の問題にしろ、経済の立て直しの問題にしろ、単に大言壮語するだけではできません。
大量の情報を収集、選別し、多方面に配慮しながら、一定の方向性を見つける・・緻密な実務の積み上げでしかできないはずです。
だとしたら現在の選挙というのは何なのでしょう。
自民党はとうてい急を要するとは思えない憲法改正の問題を持ち出し、挙げ句勝勢と見たら、徴兵制まで検討し始める。
東日本大震災からの復興についての工程表を示す政党もない。
相手方の誹謗中傷は繰り返すが、建設的な議論は少なく、各党は抽象的でかつ大衆受けする短い言葉ばかりを述べるばかりで、先に述べた実務的な意見を述べる人はごくわずか。
最近はやりの第三極とやらも意思統一できず、自滅の気配。
マスコミの報道だと自民党が300近くとる可能性があるとのことですが、これは民主党が分裂した中で選挙をしたこと、第三極が自滅したことから唯一の大政党が小選挙区制の中で得した、と見るべきだと思います。ただ今自民党が政権を取ったら、自分たちが信任されたと勘違いして、他のことをほったらかしにして憲法改正の議論でも始めそうな勢いです。
どこかの新聞で、「今の日本はワイマール憲法時代の末期によく似ている」と出ていました。
この時期ドイツは第1次大戦の賠償金や世界恐慌で苦しみ、閉塞感があり、政権はころころと変わっていました。
その中で出てきた人物、それがヒトラーです。
ヒトラーは「ゲルマン民族の優越性」という意味不明でありながら、国民受けのする言葉で国政を握り、挙げ句客観的に見たら勝ち目がないはずの世界大戦を起こしております。
今の日本はそんな方向に向かいつつあるように見えてなりません。
地方で弁護士をしていると、失業した方や生活保護の方の相談を受けることが多く、今日本が疲弊していることがよく分かります。
もちろん相談に来る方に法律上のアドバイスなどをするのは僕らの方でできますが、それ以上の社会構造上の問題はどうにもなりません。
例えば多重債務に陥っている方でも破産などで処理することはできます。ただその後その人は借金せず生活する方法を見つけなければなりませんが、
それは僕らの方ではできません(そういう関係もあり、最近2度目の破産、と言う人も若干出てきました。)。
もう一度になりますが、日本は今本当に疲弊していて、憲法改正だの徴兵制だのと言っている場合ではなく、大言壮語している場合でもありません。
まず取り組むべきは震災や原発の解決、構造的な経済的苦境を脱すること、のはずです。
明日の選挙でどうなるか分かりませんが、当選した方にはその心づもりを忘れずに活動してもらいたいものだと思います。
若干長くなりましたが。
名寄事務所において、新規に受け付ける債務整理に関するご相談に関しては、相談料を無料とさせていただくことに致しました。当地においては債務整理に関する相談がかつてに比べて減少しているもののまだ件数が多く、かつ相談にあたって相談費用がかかるという点がネックになるとの声があったことより、相談料について変更させる必要があると考えたからです。なお旭川事務所については従前どおりの相談料が発生いたします。また依頼にあたっては相談料とは別に費用が掛かりますが、費用見積もりについても無料で行います。法律扶助の要件に該当する方については法律扶助の利用も可能です。よろしくお願いいたします。
久々のブログ更新です。
最近ひまわり基金の徴収の延長が議論されております(弁護士以外の方はわかりにくいかもしれませんが、ご容赦ください。)。
ひまわり基金とは弁護士過疎・偏在解消のため、日弁連各会員から特別会費を徴収し(現在月額700円)、弁護士過疎・偏在地域における公設事務所の援助等を行うための基金です。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/counsel/kaso_taisaku/himawari.html
この徴収期限は来年3月までとされていて、現在徴収期限を延長するかについて議論がされているところです。
上記HPにもあるとおり、現在全国各地に公設事務所が設置されていて、旭川弁護士会管内においても、現在稚内支部1,名寄支部1、紋別支部2,留萌支部2の合計6軒もの公設事務所が設置されています。少なくとも旭川弁護士会管内の支部の公設事務所の弁護士は全うに公的活動にも取り組み、地域住民の方々の法的需要に応えるべく活動しております。
ただ前記したようにこの徴収期限が延長が議論されている、ということからもわかるように、この徴収について反対論がある、と言うことを意味します。
例えば「最近弁護士が多くなってきたのだからひまわり基金などなくても弁護士過疎は解消できる」「ゼロワン問題(各支部に最低2名の弁護士を確保する)は解消されたのだから、弁護士過疎は解消された」などです。ひどい議論になると、「ひまわり基金事務所の弁護士は多重債務問題などで儲かっているから援助は必要ないんだ」という話まであります。
この点確かに上記の議論にあるようにいわゆる「ゼロワン問題」は解消されています(2012年11月26日現在で、弁護士ワン地域は大分地裁の杵築支部で一つ残っておりますが)。
しかし最も大事なことは、この「ゼロワン解消」の状態を最低限維持することです。
例えば旭川地裁の支部には前記したように多数の公設事務所が設置されています。定着した事務所の弁護士はうちの事務所を入れてもわずか3軒しかなく、公設事務所がなくなればすぐに支部の住民の相談窓口は激減することになります。特に留萌支部や紋別支部などは現在営業している事務所は2軒とも公設事務所です。仮に公設事務所がなくなったら、留萌や紋別の方は遠く旭川まで相談に行かなければなりません。
また地域にごく少ない数の弁護士しかいない、ということはその弁護士がある意味その地域の弁護士を代表していると言うことを意味しますので、当然その質も問われていきます。例えば旭川のように50人前後の会員がいれば変な弁護士がいても他を当たれますが、支部ではそうはいかないのです。
従って支部の弁護士について人材を確保する、ということは非常に重要なことなのです。
ただ現在旭川のひまわり基金法律事務所は後任者不足にあえいでおります(従って弁護士の人数が増えたから地方に人が増えるというのは妄想です。)。
これはある意味当然のことです。何も知らない過疎地に出向いて、いきなり事務所を引き継げ、と言われても、どのような事務所かも分かりません。
また弁護士も商売ですので、やはり収支が成り立つか、と言う不安もあります。
もちろん家族などがいれば、一緒に赴任することになりますので、家族の不安もフォローしてあげないと行けません(病院や教育機関など)。
それらの不安を解消し、よりいい人材を過疎地に派遣するには、前記したひまわり基金による支援が必要なのです。
この点確かに一時期公設事務所は儲かる、という説もあり、またいわゆる多重債務がらみの依頼者が多かった時期は各公設事務所には相応の収入がありました。
それを目当てに赴任する、という人も何人もいました。
ただ現在多重債務問題が急速に収束しつつあり、今後公設事務所の経営が悪化するという可能性は極めて高いと思われます。何故かというと、都会の一般事務所に比べると、多重債務関係の依頼者が多い分、それが激減すれば、その分売り上げにも直結するためです。
最初この制度ができた理由は、地方ではなかなか商売にならないだろう、と思われ、その支援として決められたのです。
そのような状況下で、徴収を無くす、というのは、はっきり言って支部に出向いている公設事務所の弁護士のはしごを外す行為と言わざるを得ません。
正直私は過去に公設事務所の経験はあるものの、現在の公設事務所のあり方には批判的ですし、日弁連の考えている弁護士過疎対策についても相当批判的です。
自分が公設ではなく、あえて法人の支店を作った理由も、公設事務所や日弁連と別の視点で弁護士過疎問題に取り組んでみたいと思ったためです。
また本来公設事務所の制度は弁護士過疎問題が解消するまでの時限立法的な趣旨でできたものでしかなく、いずれは定着という形で発展的に解消して欲しいものだと思っています。
ただ少なくとも現時点においては公設事務所無くして弁護士過疎問題を語れないのが現実です。
また少なくとも旭川弁護士会管内の公設事務所の弁護士は、地域の法的需要に対し、積極的に取り組んでいると思います。
正直あまり小さな視点で議論せず、大きな視点から、この問題を考えていただき、支部の弁護士たちが仕事を安定してできるように、支援していただきたいと思います。
先日司法研修所の卒業試験(通称2回試験)の結果が発表されました。無事合格した方々について祝意を表したいと思います。
ただ合格したとしてもかなり大変なようです。
先日のNHKニュースの報道によると
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121221/k10014340751000.html
新司法試験に合格して卒業した人のうち弁護士登録を行わなかった人が合格者全体の1/4,合計540人に及んだ,ということです。
もちろん裁判官や検察官になる人もいますし,一般企業に就職するという人もいますから一概には言えませんが,おそらく弁護士の増員により就職先がなく,かつ登録すると弁護士会の会費など経済的負担が発生するため登録を見送ったと思われます。
非常に残念なことだと思います。
私は登録して12年目になりますが,つくづく思うのはこの仕事は重たい仕事だと言うことです。
顧問弁護士を抱えていて頻繁に弁護士に依頼する,と言う会社は別ですが,大抵の一般の依頼者,特に法人ではなく個人の方は,一生に一度のこととして弁護士に依頼してきます。例えば離婚であり,相続の紛争であり,債務の問題であったりします。
弁護士にとってはたくさんある事件の一つなのかも知れませんが,依頼者にとっては一生の問題です。ですので,僕ら弁護士も責任感を持って対処する必要があるのではないかと思います。私も登録して12年目になりますが,自分の実力が足りないため,依頼者の要望に応えきれなかった案件も多々あり,その度ごとに残念な気持ちになります。
このように依頼者にとって一生に一度の案件を扱うわけですから,当然僕ら弁護士には相応の能力と意欲,もちろん登録後の研鑽が求められるのではないかと思います。ただそのような仕事であるにもかかわらず,就職難や会費の負担などと言う経済的事情により,志半ばで弁護士登録を断念するというのは極めて残念なことであると思いますし,また法曹界からの人材流出になり,危険なことだと思います。また登録した人も当初から奨学金等の負担がありますので(法科大学院の費用は高い上に,現在は修習中の経済的負担も増えています。),法曹としての研鑽が出来る環境が整備されているとは言えないのではないでしょうか。
今後司法試験制度は改正されると思いますが,是非意欲があり,能力のある人がいい仕事が出来るような環境を作るような制度,であってほしいものだと思います。