弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

弁護士ドットコム「弁護士列伝」に掲載されました(大窪)。


弁護士ドットコム「弁護士列伝」からインタビューを受け,取材内容が掲載されました。

http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51411347.html

笠原弁護士は昨年12月に同じく「弁護士列伝」にインタビューが掲載されており、これに引き続きの掲載となります。

http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51375158.html

弁護士:大窪 和久

民法の非嫡出子(婚外子)と嫡出子の遺産相続分の規定への違憲判断について


 既に大きく報道されておりますとおり、最高裁判所は結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法の規定が違憲であるとの判断を下しました(平成25年9月4日 大法廷決定)。既に決定の全文が最高裁のサイトにて公開されています。

 民法の900条では相続人間の相続分が定められており、同条4号本文では、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする」と書かれています。例えば父親が亡くなり相続人が子ども複数しかいない場合には、父親の財産はそれぞれ等しい割合で各子どもが相続することになるのです。ただし、民法900条4号但書前段は、「ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の二分の一」とすると定めています。例えば、父親が亡くなり、相続人が子ども二人である場合でも、一方の子どもが父親が結婚した母親から生まれた子ども(嫡出子)であり、もう一方が結婚していない母親から生まれた子ども(非嫡出子)である場合には、前者が父親の財産の三分の二を相続することになり、後者が父親の財産の三分の一を相続することになるのです。

 この規定に対しては、生まれてくる親を選ぶことができない非嫡出子を区別することは非合理的であり、法の下の平等を定める憲法14条に反し違憲ではないかという批判がかねてよりありました。しかしながら、最高裁は平成7年にこの民法900条4号但書前段は合憲であるという判断(平成7年7月5日 大法廷決定)をしており、実務上も同条文を前提としてきました。

 しかしながら、今回の最高裁決定では、民法900条4号但書前段が「遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していた」と判断していますので、このことにより今後の実務が大きく変わることとなります。この点、最高裁決定は、平成13年7月から今回の決定が出されるまでの間に民法900条4号但書前段を前提としてなされた遺産分割協議や審判により法律関係が確定している場合はこの決定は影響を及ぼさないとしており、これらすでに終わった協議や審判が蒸し返されるということはないと思われます。一方、平成13年7月以降に相続が開始され、かつまだ協議等で法律関係が定まっていない場合には、本決定に基づく形で実務がなされることとなります。なお、今回の最高裁決定まで相続分に関する判断を見合わせていた裁判官もいらっしゃったと聞いておりますが、最高裁の違憲判断が出た以上民法900条4号但書前段を適用させた判断をすることはもはやないでしょう。

 今回の最高裁の決定で一つ気になるのは、平成7年に最高裁が合憲とした後で、「遅くとも」平成13年7月当時においては民法900条4号但書前段が憲法14条1項に違反していたとすると、平成7年の決定から平成13年7月までの間に相続が開始した場合についてはどうなるのかという点です。この点については今回判断がなされているわけではないので、今後最高裁を含めた各裁判所での判断の積み重ねをみていく必要がありそうです。

弁護士:大窪 和久

ソーシャルゲームの落とし穴


 当事務所では一時期のピークの時期には及ばないものの、現在も多重債務の相談を多く受けます。多重債務の相談の中で相談者の家計状況をお伺いするのですが、その中でここ一年の間にソーシャルゲームに多くのお金を使っている人が何人かありました。一ヶ月あたりの携帯代金が異常に高いので聞いたところ、いずれもソーシャルゲームでの課金を行っていたというのです。

 携帯電話サイト等で遊ぶことのできるソーシャルゲームは、開始する際には無料として門戸を開けていますが、ゲームを進めるにあたり有利となるカード、キャラクター、アイテムを手に入れるには課金を必要とします。しかも、有利なカード等を手に入れるためには単に課金を行えばいいのではなく、いわゆる「ガチャ」「ガシャ」と呼ばれているくじをひき、当たりをひかなければならないシステムを採用していることがほとんどです。こうしたくじをひく為に一回数百円程度の料金がかかりますが、ゲームの目玉となっているようなレアカードをあてるためには確率論上数万円以上の課金を必要とすることが多いです。

 この点、昨年5月に消費者庁が上記くじ引きシステムの一つである「コンプリートガチャ」が景品表示法に抵触するためゲーム会社に運用の見直しを行うよう要請しています。コンプリートガチャとは、例えば六つの決められた当たりカード等をガチャで全て引き当てた場合、目玉となるカードを手に入れることができるというものです。消費者庁によればこれが景品表示法の禁止する「絵合わせ」くじにあたり違法となるということです。この消費者庁の判断を受けてゲーム会社は「コンプリートガチャ」を中止しています。しかしながら、ガチャというくじ引きの手法自体が違法とまで消費者庁は判断しておらず、形を変えて各ゲーム会社は利用者から課金額を引き上げるための工夫(別システムのガチャの導入など)を行っています。

 こうしたくじ引きシステムの問題点としては、有利なカード等を手に入れさせるため多額の課金を必要とさせる一方、携帯電話料金やクレジットカード決済を代金支払い方法として利用させるため、利用者に知らず知らずのうちに高額な負担をさせてしまうところにあると言えます。カード等をネットオークションで販売するといった方法をとらなければ有利なカードを得たところで金銭的な利益はありませんが、それを除けばギャンブルと同様と言っても差し支えないと思います。それにも関わらず、ソーシャルゲームに対する特別な法規制が今のところありません(前記した景品表示法もソーシャルゲームができるずっと前の法律であり、ソーシャルゲームを想定したものではありません)。消費生活センター等にもソーシャルゲームに関する相談(高額の請求をされたというものなど)も相当増えており、ギャンブル同様の射幸性をもったソーシャルゲームがこのまま法規制がなされないままでいいのかは正直疑問があります。

 ソーシャルゲームの課金システムで最も問題になるのが、未成年者の利用についてです。親の携帯電話を使って未成年者が高額の課金を行ったので、親がゲーム会社に契約の取り消しを求めても事業者がこれに応じないというトラブルはよく消費生活センター等に寄せられています。法律上は契約の一方当事者が未成年の場合、法定代理人(親等)の同意の無い場合は取り消すことができることが原則です(民法5条2項)。ところが事業者から「年齢確認の表示はしていたが、子どもが虚偽の年齢を通知している。これは民法21条の「詐術」にあたるから、取り消しは認めない」という反論がなされ、取り消しに応じないケースが多々あります。確かに民法21条は、未成年者でも成年であると欺く行動をして誤信させた場合には契約の取り消しを認めない旨を定めていますが、対面方式の契約ではないソーシャルゲームの場合未成年者が容易に利用してしまうことができる特有の問題がありますので、年齢確認画面の存在のみで一律に詐術にあたるとすることはできないと私は考えます。しかしながら、上記事業者のような対応で泣き寝入りをしている方も多いのではないでしょうか。

 上記のような問題点をふまえ、消費者庁は本年4月にソーシャルゲームに関し、有料課金の状態を随時確認すること、保護者は課金状況を定期的に確認すること、不審な点は消費生活センターに相談することなどの注意喚起を行っています。門戸が広く多くの人が遊ぶ様になったソーシャルゲームですが、利用するにしても落とし穴が大きいことを認識して利用すべきですし、未成年者の利用に関しては特に注意すべきだと思います。

弁護士:大窪 和久

夏季休業のお知らせ(名寄事務所)


名寄事務所において、本年8月12日から16日まで夏季休業とさせていただきますので、ご案内申し上げます。

業務開始は土日(通常休業)後の8月19日となります。

休業期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。

また、旭川事務所においては、夏季休業期間はありませんので8月は暦通りの営業となります。

弁護士:大窪 和久

自転車を乗る際に気を付けて頂きたいこと


 小学生児童の運転した自転車にはねられて寝たきりの状態になったとして、被害者の家族と保険会社が、児童の母親に損害賠償を求めた訴訟で、本年7月4日神戸地方裁判所が母親に計約9500万円の支払を命じた判決を言い渡したことが各種メディアで報道されております。
 判決の事案については報道の限りでしかわかりませんので判決内容の当否自体はここでは書きませんが、一般論として自転車で交通事故を起こした場合も、自動車で事故を起こした場合と同様に高額の損害賠償責任が生じることはありえます。また自転車の場合自動車と違い子どもが乗ることも多いですが、上記判決のように、親権者が子どもが自転車を運転するにあたり必要な監督をしていなかったということで親が損害賠償責任を負うことも十分あり得ます。
 また、自転車で交通事故を起こした場合には上記のような民事上の責任だけではなく、重過失致死傷罪等の刑事責任が問われることもありえます。
 夏場には北海道でも自転車に乗る方も多く、ロードバイクでロングツーリングを楽しむため北海道を訪れる方も多くいらっしゃいます。ただ自転車は下り坂等では普通自動車並みの速度を出すこともできる危険性をはらんだ乗り物でありますので、交通ルールを守って事故を起こさないようにしていただきたいと思います。以下、自転車を乗るにあたり特に気をつけていただきたいことを書かせていただきます。
1 車道通行の際、左側通行の原則を守ること
 自転車は「軽車両」として道路交通法の適用があり、原則として車道を通行する必要があります。そして車道を通行する場合には、道路の左側部分を通行しなければならないのはもちろんのこと、道路の左側端によって走る必要があります(道交法17条4項、同18条1項)。
 車道を走る場合にも、車道の左側ではなく右側を逆走する自転車もみることがありますが、大変危険な行為なので車道の左側通行の原則を守るようにしてください。
2 歩道を通行できる場合でも安全に配慮すること
 自転車は原則として車道を走る必要がありますが、道路標識で通行を認めている場合や運転者が児童及び幼児・70歳以上の者など車道通行が危険な場合等については例外として自転車で歩道を通行することができます(道交法63条の4)。ただしこの場合でも、自転車は歩道の車道よりの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げることとなる場合には一時停止する必要があります。
 歩道を走る自転車と歩行者の交通事故は特に重大な結果につながりやすいので、歩道を自転車で走る場合には安全に十分配慮すべきです。
3 事故を起こした場合に救護義務・報告義務を果たすこと
 万が一自転車で交通事故を起こした場合には、自動車事故同様運転者に救護義務・報告義務が法律上定められていますので(道交法72条)、事故の被害者を救護した上、事故が生じたことを警察に報告するようにしてください。自転車事故の場合安易に考えてこれらの義務を果たさない例もありますが、法律違反であり罰則の適用の可能性があるばかりではなく、慰謝料の増額事由にもあたりえるところです。
4 保険に入っておくこと
 自転車による交通事故の場合で高額の損害賠償責任が問われうることは上記のとおりですが、万が一事故をおこした場合でも、保険加入をしておけば保険から賠償金を支払うことができます。自転車に自分や家族が乗る場合、自転車事故を対象とした個人賠償責任保険には必ず入っておくべきです。自動車保険で特約がつけられる場合もありますので、自分の保険の契約内容を一度確認することをお勧めいたします。

弁護士:大窪 和久
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