弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

司法制度論


先般北海道大学法科大学院において「司法制度論」という講座のゲスト講師を務めてきました。

この講座は、北海道の弁護士過疎、司法過疎問題を通じて、司法制度や法の支配のあり方などを考える、ということを目的とした講座で、北海道弁護士会連合会のバックアップの元施行されています。講座には毎回道内の弁護士過疎地域で活躍する弁護士、関係者などに出席いただき、主任教授のプランの元(現在は札幌の木下尊氏弁護士が主任教授)過疎地の業務の体験談や現状の問題点、今後のあり方などについて語っていただいております。
不肖私もこの講座ができた当初から、5年連続でゲスト講師として一つの授業を担当させていただき、旭川弁護士管内の弁護士過疎の状況や問題点、これに対する対策、弁護士会の対応状況(公設事務所や法律相談センターの展開など)について説明させていただいております。

ただ私は平成16年から19年にかけて公設事務所弁護士として弁護士過疎・司法過疎問題の最前線にいたものの、すでに旭川という非過疎地域で開業して6年になります。
またその後弁護士過疎・司法過疎に関する状況は大きく変化しました。例えば平成19年当時私の事務所しか法律事務所がなかった名寄支部は、弁護士3名が登録し、私が所長をしていた名寄ひまわり基金法律事務所は既に4代目の所長が赴任しております。
当時私がやろうと思ってもできなかった、地域の様々な機関の連携やネットワークの構築も徐々にできるような状況になりつつあります。
ですので本来であればこの講義には私などが出ずに、地域で活躍する各先生方が出るのが本来なのでしょう。

ただ私は旭川弁護士会に登録して来年で10年になりますが、その間弁護士過疎問題、司法過疎問題について様々な出来事がありました。
また私は、旭川に登録した後、弁護士会の役員も務め、これら過疎地で活動しているだけでは分からないようなことも知ることができ、ある意味現場にいる人たちとは別の視点を持つ機会も得ることができました。
今後弁護士過疎、司法過疎問題において私の役割があるとしたら、これらの歴史や過疎地で活躍する先生方では分からないようなことを伝え、現場で活躍する方々のバックアップをすることだと考えております(もっとも本当は今でも過疎地の現場で活動したいという気持ちを捨てきれないのですが・・)。

主任教授の木下先生によると、今年は約60人の学生が受講しているそうです。
今日の講義を通じて、少しでも弁護士過疎、司法過疎問題に関心を持ってもらい、今後弁護士過疎、司法過疎の現場で活躍する端緒になってくれればと願ってやみません。
今時の法科大学院の学生の方々は大変だと思いますが、今後の活躍を心よりお祈りいたします。

弁護士:笠原 裕治

道弁連・サハリン州弁護士会交流20周年記念シンポについて


北海道弁護士会連合会(道弁連)は、1993年からサハリン州弁護士会との交流を開始しており、本年で交流20周年を迎えています。サハリン州の法曹の北海道訪問と、北海道の弁護士のサハリン訪問を一年ごとに続けてきました(私も過去3回上記交流のためサハリンを訪問させていただいております)。そして、道弁連では交流20周年記念事業として、本年11月に下記の通り交流20周年記念シンポジウムを開催します。ロシア・サハリンの法律事情について学ぶことのできる良い機会だと思いますし、個人的にも興味深い分野です。どなたでも参加できますので、ぜひご参加のほどよろしくお願いいたします。

 北海道弁護士会連合会 サハリン州弁護士会 交流20周年記念シンポジウムのお知らせ

【開催概要】

(日時)

2013年11月14日(木)13:30~16:40

(場所)

ロイトン札幌2階リージェントホール (札幌市中央区北1条西11丁目,TEL:011-271-2711)

(概要)

第1部<講演>

「日本弁護士から見たロシア等のCIS諸国における 司法・弁護士制度の実情(予定)」

スピーカー:松嶋希会弁護士

第2部<パネルディスカッション>

「ロシアにおける法的紛争解決 一進出した日本企業が直面する問題等(予定)」

パネリスト:松嶋希会(日本国弁護士)・ユジノサハリンスク仲裁裁判所裁判官(予定)・サハリン州弁護士2名(予定)

(対象)

どなたでも参加可能   定員120名程度  参加費無料(事前に申込必要)

(問い合わせ先)

弁護士山田裕輝(道弁連北方圏交流委員会副委員長)

電話 011-261-6980 FAX 011-261-6981

弁護士:大窪 和久

弁護士に依頼する際の注意事項


最近相当にサボり気味でしたが(汗),久々に投稿させていただきます。

今日は弁護士に依頼する際の注意事項についてお話ししたいと思います。

法律相談を受けていると「もっと早く相談に来ればいいのに」という相談者によく出くわします。
ただそういう人に「なんでもっと早く相談しなかったの?」と言った際,よく言われるのが
「弁護士は「先生」とか言われていて,偉そうで,相談しにくい。」
「以前相談したことがあるが,とても話しにくくて,嫌だった。」
「弁護士費用がいくらかかるか説明がなくて,不安だった。」
という台詞です。
またたまに
「依頼したのはいいのだけど,弁護士費用についての契約書がなく,どの程度費用がかかるか分からなかった」
「契約書もないのにものすごい高い成功報酬を請求された」
という話まであります。

そういう話を聞いていると実に残念な気持ちになります。

実は「紺屋の白袴」などと言いますが,法律関係を扱う弁護士であるにもかかわらず,自分が依頼を受ける際には契約書を取っていない,
という弁護士は以前は決して少なくありませんでした。
また「先生」と呼ばれる立場にあぐらをかき,依頼者に対してろくろく説明もせず受任し,事件処理をする,という弁護士がいたことも否定できません。

しかし平成16年に弁護士職務基本規定が制定され,その中で依頼を受ける際の注意事項がいくつか定められております。
概要は以下のとおりです。
1.弁護士は事件を受任するに当たり,処理の方法,弁護士報酬及び費用について適切な説明をしなければならない(29条1項)。
2.依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず,見込みがあるように装って受任してはならない(29条3項)。
3.受任するに当たっては弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作らないといけない(但し緊急性があるときやごく簡易な書面作成等を除く)(30条)。

要は「事件を受けるに当たっては見通しを説明しなさいよ,勝てる見込みがないのに勝てると言って受けちゃいけないよ」「契約書は作りましょうね」ということです。
一般社会ではごくごく当然のことですよね(笑)。
まして我々は,「契約書がないじゃないか,だから代金は払わない」とか
「手術を受けるに当たってそのリスクを説明されていないから説明義務違反だ!」
などと裁判で主張するのですから,自分が依頼を受ける際にもそれを守るのは当然のことですよね。

ただ弁護士職務基本規定が制定されてから既に10年近くがたちますが,残念なことに未だ依頼を受ける際に委任契約書を作成していない弁護士がいるのも事実ですし,
またろくろく説明もしない,報告もしない弁護士がいるのもまた事実です。

もし今後弁護士に依頼する機会がある場合に上記のような不満を持ったら,是非このブログの記事を思い出していただいて,
「確か委任契約書ってのを作る必要があるんだな」
「依頼者には説明を受ける権利があるんだな」
と考えていただけると幸いです。
また前記したように,これらの義務は弁護士職務基本規定に定められた義務でもありますので,もしそんな弁護士に当たったら,依頼する際に一考した方がよろしいと思います。

なお当事務所ではホームページにも記載があるとおり,事件の受任に当たっては丁寧に説明をすることを心がけております。
もし当事務所の依頼者の方,若しくは相談をしようと考えている方で,ちょっとわからない,という方がいらっしゃれば遠慮なくお申し付けください。

弁護士:笠原 裕治

弁護士ドットコム「弁護士列伝」に掲載されました(大窪)。


弁護士ドットコム「弁護士列伝」からインタビューを受け,取材内容が掲載されました。

http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51411347.html

笠原弁護士は昨年12月に同じく「弁護士列伝」にインタビューが掲載されており、これに引き続きの掲載となります。

http://blog.livedoor.jp/bengoshiretsuden/archives/51375158.html

弁護士:大窪 和久

民法の非嫡出子(婚外子)と嫡出子の遺産相続分の規定への違憲判断について


 既に大きく報道されておりますとおり、最高裁判所は結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法の規定が違憲であるとの判断を下しました(平成25年9月4日 大法廷決定)。既に決定の全文が最高裁のサイトにて公開されています。

 民法の900条では相続人間の相続分が定められており、同条4号本文では、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする」と書かれています。例えば父親が亡くなり相続人が子ども複数しかいない場合には、父親の財産はそれぞれ等しい割合で各子どもが相続することになるのです。ただし、民法900条4号但書前段は、「ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の二分の一」とすると定めています。例えば、父親が亡くなり、相続人が子ども二人である場合でも、一方の子どもが父親が結婚した母親から生まれた子ども(嫡出子)であり、もう一方が結婚していない母親から生まれた子ども(非嫡出子)である場合には、前者が父親の財産の三分の二を相続することになり、後者が父親の財産の三分の一を相続することになるのです。

 この規定に対しては、生まれてくる親を選ぶことができない非嫡出子を区別することは非合理的であり、法の下の平等を定める憲法14条に反し違憲ではないかという批判がかねてよりありました。しかしながら、最高裁は平成7年にこの民法900条4号但書前段は合憲であるという判断(平成7年7月5日 大法廷決定)をしており、実務上も同条文を前提としてきました。

 しかしながら、今回の最高裁決定では、民法900条4号但書前段が「遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していた」と判断していますので、このことにより今後の実務が大きく変わることとなります。この点、最高裁決定は、平成13年7月から今回の決定が出されるまでの間に民法900条4号但書前段を前提としてなされた遺産分割協議や審判により法律関係が確定している場合はこの決定は影響を及ぼさないとしており、これらすでに終わった協議や審判が蒸し返されるということはないと思われます。一方、平成13年7月以降に相続が開始され、かつまだ協議等で法律関係が定まっていない場合には、本決定に基づく形で実務がなされることとなります。なお、今回の最高裁決定まで相続分に関する判断を見合わせていた裁判官もいらっしゃったと聞いておりますが、最高裁の違憲判断が出た以上民法900条4号但書前段を適用させた判断をすることはもはやないでしょう。

 今回の最高裁の決定で一つ気になるのは、平成7年に最高裁が合憲とした後で、「遅くとも」平成13年7月当時においては民法900条4号但書前段が憲法14条1項に違反していたとすると、平成7年の決定から平成13年7月までの間に相続が開始した場合についてはどうなるのかという点です。この点については今回判断がなされているわけではないので、今後最高裁を含めた各裁判所での判断の積み重ねをみていく必要がありそうです。

弁護士:大窪 和久
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