本日名寄の天文台「きたすばる」が運営するWEBテレビ「きたすばるどっとこむ」に出演してきました。
http://www.kitasubaru.com/
このWEBテレビは、週1回水曜日18時からの放送で、名寄市の地元情報、天文台の話題、その他諸々の情報を発信しております。
なお運営を担当する方々の大半はボランティア。ただ地元を盛り上げるためだけに自発的に協力してくれています。 色々と世知辛い話題が多い今日この頃ですが、このような方々がいると安心しますし、まだ日本も安心だ、と思えます。今後も継続して運営して欲しいものだと思います。
なお放送でもご案内しましたが、今回「きたすばるどっとこむ」を聞いていただいた方限定で、無料法律相談を実施したいと思います。電話で事前予約をする際、「きたすばるどっとこむ」を見た、とおっしゃっていただければ30分まで相談料をサービスさせていただきます。
詳しくは、当事務所事務局までお問い合わせください。
*但し30分以上は通常料金となります。また6月30日までに申し込まれた方限定とさせていただきますので、ご了承ください。
平成24年5月より名寄商工会議所にて,名寄商工会議所と風連商工会議所の会員事業所経営者,従業員,それぞれの家族を対象にした無料法律相談が始められております。担当するのは旭川地方裁判所名寄支部管内に事務所がある弁護士3名です。
6月以降の予定及び 実施要領は下記の通りとなっております。ご利用希望の方はお気軽に担当する弁護士事務所まで連絡をお願いいたします。なお次回6月20日については,私が担当いたします。
【平成24年度無料法律相談予定】
6月20日(水) 担当弁護士大窪和久(連絡先 道北法律事務所 01654-8-7080)
7月18日(水) 担当弁護士田頭理(連絡先 名寄ひまわり基金法律事務所 01654-3-7115)
8月22日(水) 担当弁護士野島梨恵(連絡先 木村雅一法律特許事務所 01652-9-7200)
9月19日(水) 担当弁護士大窪和久(連絡先 道北法律事務所 01654-8-7080)
10月17日(水) 担当弁護士田頭理(連絡先 名寄ひまわり基金法律事務所 01654-3-7115)
11月21日(水) 担当弁護士野島梨恵(連絡先 木村雅一法律特許事務所 01652-9-7200)
12月19日(水) 担当弁護士大窪和久 (連絡先 道北法律事務所 01654-8-7080)
1月16日(水) 担当弁護士田頭理 (連絡先 名寄ひまわり基金法律事務所 01654-3-7115)
2月20日(水) 担当弁護士野島梨恵(連絡先 木村雅一法律特許事務所 01652-9-7200)
3月20日(水) 担当弁護士大窪和久(連絡先 道北法律事務所 01654-8-7080)
【実施要領】
開催日時:毎月1回、午後1時から5時まで(1人/30分基準)
費用:無料
開催場所:名寄商工会議所内
対象者:名寄商工会議所会員、会員家族及び従業員
予約・問い合わせ窓口:各担当弁護士の所属事務所(相談日前日までに予約をお願いします。)
開催日は変更になる場合がありますので、利用される方は事前に確認をお願いします。
先日STVで生活保護制度の特集があったことや,お笑い芸人の河本さんの母親の件についてマスコミが取り上げたことなどから,生活保護制度の話題が結構出てきておりますので,今回は生活保護制度について。
生活保護は,憲法25条に定める生存権の確保のため,国が生活に困窮する国民のために生活を保障することを目的とします(生活保護法1条)。ただ生活保護は,他に利用しうる資産,能力その他のものを活用することを要件とし,あくまで補足的に行われるものです(同4条1項)。また他に扶養義務者による扶養が可能な場合などは,それを優先して行うものとされています(同4条2項・先ほどの河本さんの事案などはそれに当たります。)。申請があった場合,先ほどの補足性の要件の他,保護を要する状態にあるか否かなどについて福祉事務所が調査し,14日以内に申請を受理するか応答をしなければなりません。
ところで以前日弁連で行った生活保護110番で出た苦情の大半は,福祉事務所の対応についてでした。多かった内容は,「扶養義務者に援助して貰いなさい」「所持金がなくなってから来なさい」などであり,またSTVの特集にあったように,生活保護を申請させないようにするという案件もあったと聞いております(これは生活保護法により,申請があれば14日以内に回答する義務を負うためと思われます。)。
もちろんこれらの対応は違法なものが多いのが実情です。例えば「扶養義務者に援助して貰いなさい」という点について,厚生労働省は,民法上扶養義務を負う直系血族等でなくても「過去に・・扶養を受けるなど特別の事情があり,かつ扶養能力があると推測される者」として「相対的扶養義務者」とするとの通達を出しています。しかしかかる者が民法上扶養義務を負わない以上,扶養義務の対象とならないことは明らかです。従って前記発言における「扶養義務者」が「相対的扶養義務者」であるのなら,完全に違法と言えるでしょう。
ただだからといって一概に福祉事務所の対応窓口だけを責めるのはいかがかと思われます。というのは,数年前にあった滝川市の生活保護受給問題など,生活保護費の不正受給に関する問題があるためです。そのため福祉事務所の側としては,当然これらの不正受給に対応するため,法令に基づいた相応の審査を当然にしなければなりません。その上長期的,かつ構造的な不況により,生活保護の申請自体が増加しているのに対し,これを審査する福祉事務所の職員は増加しているとは言えません。私も生活保護のケースワーカーと話すことが何度もありましたが,いずれの職員もどう見てもあり得ないほどの件数を抱えていて,苦労している様子が伺えました。
更に言うのであれば,前記した厚生労働省の通達などからも推測されるとおり,自治体より,むしろ厚生労働省が生活保護費の支出を抑えるように指導している形跡すらあります。その場合現場の福祉事務所は予算上の問題も考えないといけないのです。
もちろん先ほど述べたように,生活保護の要件を充足しているのに,これを言いくるめるような対応をする,若しくは申請をさせないと言うことは違法であり,解決しなければいけない問題で,憲法上の権利である以上予算云々は理由になりません。個別具体的事案によっては,弁護士に相談して生活保護の申請の代理をして貰うのも一つの選択肢でしょう。
ただ最も根本にあるのは,法律に基づいた審査を十分に行うことができない状態を放置し,かつ十分な予算を確保していないという状態にあるのではないでしょうか。
さて今回も前回に引き続き,クレーム処理について。
前回ではクレームか否か,の判断について投稿しましたが,今回はクレーム,と判断された場合に,どのように対応するべきか,というところについて説明させていただきます。
まず最も大事なことは,自らがどのような立場に立つのか,ということを明確にすることです。
前回の投稿にもありますが,客観的に何が真実か,ということは神様でもない限り分かりませんし,争いがあれば最終的には裁判等で確定する,と言うことにしかなりません。
従ってクレームを受ける側は,「もしかしたら相手の行っていることが正しいかも知れないな」と思ってしまうものですし(特にクレームを受け慣れていない人などはそう思ってしまいます。),そのような自信なさげな対応が相手方のつけいるスキとなってしまいます。
そのようなスキを与えないようにするには,まず自分の対応に自信を持つこと,一貫して動かすべきことでないことを持つことです。
例えば「欠陥商品だ!」というクレームであれば,本当に欠陥があるのかをしっかり調査して,「ない!」ということに自信を持って対応することです。また「欠陥がある」というのであれば,どの程度の損害が相当なのか,ということを調査して対応するべきです。
なお道義的責任と法的責任は別ですので,法的責任を負うか,ということについて専門家の意見を聞くことをお勧めします。専門家の意見があれば,自分たちの対応に自信を持つことができます。
次にむやみに責任を認めないことです。クレームをあまりに長く受けていると,多少相手方に同情する,若しくは苦情対応に疲れて認めてしまう,と言うことがあります。
しかしこれは絶対に禁物です。道義的に同情できたとしても法的な責任は別の問題ですし,まして対応に疲れて,というのは将に相手方の思うつぼと言っていいでしょう(後者の対策は次項)。
次に相手方の圧迫に屈しない態勢を作ることです。
クレーム処理は面倒なものです。ですから嫌なことはやらないようにしよう,と思って,つい一人に任せきり,と言うことがあります。
しかし一人で苦情を聞いていると大変です。暴力団のような確信犯的なタイプであれば相手を追い込むすべも知っておりますし,単に感情的になっている人を相手にするのも大変です。この種の苦情対応で鬱病に罹患する事例もかなり多く存在します。
そこで対応する際には,可能な限り複数の人間で対応する,ということが大切です。これは担当者の心理的負担を軽減する効果もありますが,脅迫等の言動があった場合に,証人とすることができる,と言う効果もあります。
またあまりに脅迫めいたことを行ってくるようであれば録音する,という選択もあります。相手方は,録音機が目の前にあると言うだけで発言には気をつけるものです。
それとその場で回答せずに後日検討の上回答する,と言う対応も大切です。またその場で回答しないよう,決裁権のある人を前面に出さないこと(揚げ足を取られないようにする),というのも大切です。
それから対応窓口を一本化させること,相手方についても複数の窓口を作らせないことです。
例えば当方の対応窓口をA課としたなら,そこだけで対応する,ということです。苦情を言う側は当方が受け入れないと,別の部署(例えばB課)に持ち込んで,同じようなことを言う,ということがあります。その場合B課はA課の事情を知らないので,うっかり変なことを回答し,揚げ足を取られます。
逆に相手方についても,窓口を一本化させることです。例えば「代理人」と名乗る人がいたら,可能な限り排除した方がよいでしょう。この「代理人」がどういう素性の人か分からないことに加え,間に人を通すことによって,誤った情報が双方当事者に伝えられる可能性があるためです。
紛争を複雑化させないためには,可能な限りシンプルに,というのが基本です。
その他様々な対応方法があります。
例えば脅迫等があれば警察の暴力団関係の部署や弁護士に相談して刑事告訴を検討する,感情的な人に対しては民事調停などの利用を検討する,等です。
ただこれらについては,事案に応じて様々な方法がありますので,弁護士その他にご相談されることをお勧めします。
私は名寄で仕事をする前の3年間の間、鹿児島県奄美大島で仕事をさせていただいていたこともあり、今も奄美に行く機会がありますが、その際に三浦一広さんのことが書かれている本「結の島のフリムン」が発売されていることを教えてもらいました。奄美から戻った後購入し、読ませていただきました。
三浦一広さんは、奄美市市役所福祉政策課で青少年支援担当として勤務するかたわら、保護司としてNPO法人「ゆずり葉の郷」を通じ、青少年の更生に携わってこられた方です。30年間の間に三浦さんが携わった青少年の数は3万人に達するのことです。また、三浦さんは奄美合気拳法連盟の総師範代でもあり、私費を投じて道場兼住居「子どもの家」をつくり、行き場のない青少年を住まわせ立ち直りまでの支援も行っています。問題を抱える青少年とその家族のため、夜眠る間も携帯電話を離さず、必要とあれば夜中の何時でも現場に飛び出していました。私も、奄美大島では少年事件を扱うことがあり、その際には三浦さんには大変お世話になっておりました。奄美に限らず、地方では就業先など少年が立ち直りを する上で必要となってくる社会資源に乏しいことがありますが、その中でいかに少年が更生することができる道をつくっている大きな力となっているのは間違いありません。数字上も、三浦さんが「ゆずり葉の郷」をつくり活動をしていった後に奄美での少年犯罪件数は飛躍的に減少しています。
この本では、三浦さんのこれまでの実践について著者が取材され書かれていますが、三浦さんが少年一人一人に向き合い、ダメなところを非難するのではなく、良くなったところを見いだしていく暖かい対応をしてきたのがよく分かります。そして、三浦さんは青少年への支援活動をたった一人ではじめていますが、更生した青少年たちも後輩を助けていくなどその活動が広がりをみせ、名瀬警察署や市教育関係者だけではなく、地元の企業、児童相談所、医師会の支援をも得て支援活動がさらに発展していきました。その他、更生保護司の婦人団体の協力や、青年会議所、ライオンズクラブ、ロータリークラブからの寄付もうけるようになり、いわば島ぐるみで活動を支えるようになっています。裁判所も例外ではなく、本の中でも名瀬の地家裁支部長が三浦さんと一緒に居酒屋で青少年教育のあり方について語っているところが紹介されておりました。
奄美に三年間いて感じたことですが、奄美では昔から「絆」を意味する”結い”の心が重んじられており、困っている人を放っておくのではなく、皆で助けていこうという思いがあります。その思いは今も引き継がれていると思います。本で紹介されている三浦さんの献身的な活動は超人的でありますが、それを大きく支えたのは奄美の人が三浦さんの活動を理解し、三浦さんを支え共に活動をしていく”結い”の心を強く持っていたからだと思います。奄美では奄美以外の地域でも献身的な活動を続けている方は当然いらっしゃると思いますが、それを一人だけの活動や仕事に終わらせるのではなく、奄美の様に地域の中での連携までつなげるのは簡単なことではないだろうと思います。この本には学ぶべき点が多々あると思いますので、ぜひご一読いただきたいと思います。
追記(2012.8.15)
このエントリーを書いた後、三浦さんからお手紙をいただきました。お手紙とともに新聞記事等もいただき、相変わらず精力的な活動をしていることが伝わりました。記事の中で「子どもの心の動きをしっかりと見ること。瞬時に子どもたちの気持ちを読み取ること。三浦さんは世の大人や親たちにそれを強く望んでいる。親の身勝手な行動で犠牲になるのは常に子どもたちだ」と書かれていますが、本当にその通りだと思います。