弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

2012年

国際仲裁のすすめ


先月5日に北海道弁護士会連合会で国士舘大学の中村達也教授をお招きし,国際仲裁についての研修が行われました。

国際仲裁とは,国を超えた紛争につき,第三者である仲裁人が当事者の言い分や証拠に基づき判断をして,紛争を解決する制度のことを言います。この国際仲裁は,例えばロシアの会社と取引をするにあたり,トラブルが生じた場合には問題解決の手段として極めて大きな意味を持ちます。なぜなら,訴訟による解決が困難であるからです。この点,ロシアの会社とのトラブル(例えば,売買代金の不払いがあった場合など)について日本の裁判所で裁判を行い,勝訴判決を得ることができたとしても,日本の裁判所で勝ち取った判決をもとにしてロシアで強制執行をしようとしても,することができません。日本とロシアの間では「相手国の判決を相互に承認する制度は存在しないので,日本における裁判でロシア企業に対する有利な判決あるいは仮処分命令を得たとしても,この判決や命令に基づいて,ロシア国内での相手方の資産差し押さえ等,強制執行は,事実上,不可能」であるからです(2010年3月 独立行政法人日本貿易機構「ロシアにおける契約行為と実務上の留意点」14頁)。一方,国際仲裁により判断を得ることができれば,仲裁判断に国際的通用性が認められているので財産の差し押さえをすることができます。

この国際仲裁をおこなうためには,あらかじめ当事者間で契約で国際仲裁を行う場合の取り決めをすることが必要です。ここで特に注意をしなければならないのが,仲裁を行う場所(仲裁地)や,仲裁を行う際に判断の基礎となる法(準拠法)をきちんと定めておくことです。仲裁地を決めておかなかったが故に,仲裁地が遠く離れた第三国になってしまうというケースもあります。日本を仲裁地にし,日本法を準拠法とすれば紛争が起こった場合に有利になるでしょう。

今後北海道とサハリンなどロシアとの間での商取引はより活発になると思いますが,取引を行うにあたり国際仲裁をどう行うかについてはきちんと取り決めておくことをお勧めいたします。

弁護士:大窪 和久

「精神医療過疎の町から」(阿部恵一郎氏著)


 先週日本弁護士連合会の自殺対策強化月間の一環として,旭川でも「暮らしとこころの総合相談」が実施され,当事務所からも大窪弁護士がこれに参加しました。
 詳細は大窪弁護士の投稿をご覧頂ければと思いますが,大窪弁護士が言うように,様々な問題で悩み,不幸な結果に至ると言う事例は我々も多数見てきておりますし,そのような結果が生じる前に改善できるようにする,というのは社会一般にとって必要なことだと思いますので,今後我々としても是非協力していきたいと思います。

 ところでこの企画を見たときに思い出したのが,私がかって仕事をしていた名寄市に2007年に精神科クリニックを開いた阿部恵一郎さんが執筆した「精神医療過疎の町から」というという本です。
http://www.yomiuri.co.jp/book/raiten/20120312-OYT8T00750.htm
 この本は精神科医が次々と撤退する上川北部地域にあえて精神科クリニックを開業した精神科医のエッセイで,精神科医が不足している上川北部地域における奮闘が掲載されておりますが,その中で阿部医師が市役所や市立病院などと連携してごく自然な形で自殺予防のネットワークを形成し,かつ地域の実情にあったネットワークの形成のために尽力いただいている様子が伺えます。
 また地域にごくわずかしかいない精神科医として,地域全般のことを考え,このような活動に尽力いただいていることを考えると,頭が下がる思いです。
 この点前記した日弁連主催の「自殺対策強化月間」なども悪くはないのですが,「強化月間」と言われると,つい「だったら他の月はどうするの?」と突っ込みたくなりますし,また中央の考えることはえてして地方ごとの実情を考慮せず,画一的になりがちです。
その点から阿部医師の著作にあるように,恒常的,かつ地域の実情にあったネットワークの形成が必要と強く思いましたし,またこのような企画を我々も独自に企画できると素晴らしいと思いました。

弁護士:笠原 裕治

「暮らしとこころの総合相談」について


本日,旭川弁護士会で,多重債務、労働,離婚,DV,相続,学校の問題,生活困窮などを対象とした無料電話相談を行いました。私も担当者の一人として相談を行いました。これは日本弁護士連合会の『自殺対策強化月間における全国一斉「暮らしとこころの総合相談」』を企画を受けて行われたものです。旭川弁護士会のホームページでの広報(http://kyokuben.or.jp/news.html)だけではなく,新聞で取り上げて頂いたこともあり多くの方の相談があったとのことです。

この相談は一人でも多く自殺で亡くなる方を少なくすることを目的として行ったものです。NPOライフリンク(http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html)がつくった自殺対策白書(ホームページ上で公開されています)によると,人が自殺に追い込まれるには借金や家庭内の問題,労働問題,健康問題など数多くの「危機要因」が重なり,連鎖しながら自殺へ結びつく経路を作っていくとのことですが,まさにその通りだと思います。逆に言えばそれぞれの「危機要因」をなくしていくことで自殺への経路をなくしていくことができます。弁護士が全ての問題を解消することはできませんが,行政や他の専門家と協同することにより問題解決の幅を広げていくことはできると思います。

私もこれまで,借金を残されて自殺された方の遺族の相談を受けたことはありますが,借金の問題を生前に解決できていればあるいは自殺という結果に結びつかなかったかも知れないと思い,無念でなりません。今回のような一度の相談に限らず,問題解決手段へのアクセスがより広がらなければならないと思います。

弁護士:大窪 和久

震災から1年


今日は3月11日,あの震災の日からちょうど1年が経過しました。
震災で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈りすると同時に,現在も震災や原発事故の被害のため苦しんでいる方々に対し,心より今後の幸福をお祈りいたします。

あの時自分は事務所の相談室で依頼者と協議中でしたが,正直北海道北部という震源から非常に遠い地域であったことや,協議に集中していたこともあり,地震があったことすら分かりませんでした。
ただ協議が終わった後千葉県の病院に電話をする用事があったのですが,何故か電話が全く繋がらず・・何故かな?と思って調べたところ,震災があったことを知り,大変な事態となっていたことを知った次第です。
その後テレビ等で見た内容,特に津波の映像などはこの世のものとは思えないものでした。私は震災から約2ヶ月が経過した頃,弁護士会が実施した震災被害者のための法律相談のため,陸前高田に出向きましたが,街があったところには建物が一切なく,ただ瓦礫と水たまりがあっただけでした。先日別の機会に陸前高田に出向いた弁護士から聞いたところでは,瓦礫こそ多少片付いたものの,ただ野原が広がっているだけで復興と言うにはほど遠い状態だそうです。
ただ昨年5月に出向いた際,震災で自宅を失った人が大半であったにもかかわらず,何とか努力していこうとしており,また派遣されたボランティアの人たちも何とかこれを助けようとしておりました。自分がもし被害者だったら,おそらく何もできずただ呆然としているばかりなのでしょうが・・正直被害の甚大さ以上に,これを乗り越えようとする日本人の力,というものに感じ入った次第です。
正直自分は今北海道という遠いところにおりますので,できることは限られておりますが,もし震災の被害者のために何かできることがあれば今後いつでも協力させていただきたいと思います。

弁護士:笠原 裕治

弁護士は先生?


先日ブログを開設したのはいいのですが,いざ投稿する,となるとなかなか難しいものでして・・。

今しばらくは適当に投稿させていただきますので,しばらくはご容赦いただければと思います。

さて本日の表題は「弁護士は先生?」としました。

というのは,世間一般に弁護士は,「先生」と言われるのがほぼ定着しております。新人の弁護士でも通常「先生」と言われます。

ただ実際に弁護士,というのは「先生」などと言われるようなものなのでしょうか?

単純に答えるなら「NO」です。世間一般で言われているので,私もついつい「先生」と言われるのを認めてしまっているのですが,正直内心では「先生」とか言われるのが余り好きではありません。

通常「先生」と言われて思い浮かべるのは学校の先生や大学の教授のように人にものを教える人を言うのでしょう。
しかし弁護士は,単に法律上の専門知識を依頼者や相談者の皆様方に提供して,その対価を得る専門職でしかありません。
もっと端的に言うなら「サービス業」の一種と言えるかも知れません(もっとも品位を損なうことや違法行為の助長をしてはならないなど,弁護士として当然あるべき制限はありますが)。
サービス業が「先生」な訳はないですよね。

この点については,弁護士職務基本規程22条にも「弁護士は・・依頼者の意思を尊重して職務を行うものとする」とありますし,受任時においてはインフォームドコンセントに務める義務を負うなど(同29条),会則上明記されております。
誤解を恐れずにいうのであれば,依頼者の方から怖がられたのでは,依頼者の意思を尊重することなどできませんので,まともな業務になるわけがないのです。

従って弁護士に依頼する際,弁護士を「先生」と言って,遠慮して言いたいことも言えずに終わる,というのは望ましくなく,むしろ店で食事を注文するときのように,遠慮なく注文いただければ,と思います。
また「先生」と呼ぶと取っつきにくい,と言うことであれば,「笠原さん」でもいいですし,「弁護士さん」と呼んでいただいても結構です。また自分が怖そうだと思ったら,遠慮なく,言っていただければと思います(偉そうに言っていますが自分も結構短気なところがありまして・・。)。

ただ正直弁護士は専門職ですし,その意味において時折難しいことは難しい,とはっきり言わせていただくことがあります。こちらもそれが仕事の一つですので,その点だけはご容赦いただければと思います。

弁護士:笠原 裕治
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